ドイツ紀行 その1

 予定通り6月21日帰国しました。成田〜フランクフルト間は全日空のボーイング747LHで往復しました。機内は専用の車椅子で移動出来ますがトイレまでは入れませんでした。歩くことができない方はそれなりの対策をする必要があるようです。(フランクフルト〜ミュンヘン間はルフトハンザの小型機で、こちらはガスボンベを運ぶときに使う一輪車のようなものを機内で使っていました。)成田では全日空ホテルに前泊しましたが、車椅子に対応した部屋は無いようです。ここで飛行機のチェックインが出来荷物を運ぶ手間がかからず便利でした。只リムジンバスは観光用のものでステップが高く床も高いバスでした。成田〜フランクフルト〜ミュンヘンと連絡が取れていて航空会社の対応には何も問題がありませんでした。 

 ミュンヘンからシテイヒルトンホテル迄、車椅子に対応した車の手配をしたつもりでしたが、準備されていたのは普通のバンでした。向い風が強く途中で予定外の給油をし、飛行機は約2時間遅れミュンヘン空港に現地時間21時30分頃到着したこともあり、車の手配は正解でした。ホテルの洗面所のコンセントにトランスを挟んで、車椅子の充電器を継ないでバッテリに充電しましたが、車椅子が動きません。色々調べたらトランスの説明書の最後の方に洗面所のコンセントの容量は 20W位だと書いてありました。鬚剃り専用なのかオートブレイカーが働いてしまったようです。専用のドライヤーは設置されているので問題ありません。色んなことをしている内にうっかりして直接充電器を継ないでしまい壊してしまいました。トランスのプラグしか使いないよう工夫しましたが後の祭りでした。以降電動車椅子の機能を活かせずに家族に迷惑をかけてしまいました。ミュンヘンは何となく温かくゆったりとした所で又行きたくなる様な感じの街でした。観光ポイントはこじんまり纏まっていて車椅子でも十分歩けます。外出時はポイントまでタクシーで出かけそこから車椅子に乗り換えました。車椅子のまま利用出来るタクシーは見かけませんでした。運転手は親切で気軽に手助けしてくれます。運転席に座ったままなんて一度もなく乗車拒否もありませんでした。タクシー代は一回当たり、市内で20ドイツマルク以下で済みましたが、渋滞の待ち時間も加算されるのでまちまちで気になってしょうがありませんでした。シテイヒルトンは部屋と洗面所・トイレ・シャワー室は広く使い易いホテルでした。

 予定通り列車を利用してゲッピンゲンに行って来ました。先ず決行する前日に切符を買いました。車椅子で問題なく利用出来ると、何人もから言われたので指定席を予約しませんでした。ミュンヘン駅のホームは車椅子で直接入れますが、ホームからステップを2段上らないと列車に乗り込めません。ホームには駅員の姿は見えません。手助けを受けるのにどうして良いか分らなかったので、自分達でどうにか乗り込みました。車椅子用の座席とトイレは下調べをした通りでした。車掌に降りる際手を貸してくれるように頼んだら、女性の責任者がやってきてゲッピンゲンのホームは低く車椅子では降りれないからシュタットガルトまで乗り越して戻って来たらと言われましたが、肩を支えれば降りれるからと言うとやってみましょうと納得してくれました。 3人の女性車掌が駆け付けてくれ、時間もかからずに降りることが出来ました。駅の外に出るには地下道を通らなければなりません。ここも駅員の姿は見えません。しかし、黙っている内に一般の方々が手を貸してくれ難なく外に出ることが出来ました。用事が終わってミュンヘンへ戻ることになりました。駅で切符を売っていた女性に列車に乗る際に手助けを依頼しました。ここで困ったことは車椅子用の車両が教えられた位置に停まらなかったことです。又旨く連絡出来なかったのか車掌さんの手助けはありませんでした。しかし、一般の乗客の手助けで普通の車両に乗ることが出来たのですが、身の置き場がなく困ってしまいました。どうにか座席に移って車椅子を畳んでミュンヘンに戻ることが出来ました。大きな駅まで列車で行き、近郊電車に乗り換えるのが正解かもしれません。電車用のホームは段差が少ないようでした。この辺は旅行会社の現地駐在員に確認してから旅行に出た方が良いと思いました。

 歩道は石畳が多く、移動し難く乗り心地も悪く段差もありました。万全とは言えませんが日本よりは増しでしょうか、車椅子のまま地下に降りたり、橋に上るために簡素なエレベーターを何箇所かで見ました。向こうではリフトと名前が付けられてました。日本では既存の建物にエレベーターを増設することは認められていないと聞きました。向こうではこのリフトをデパートなどでも増設していました。例えば4階までエレベーター、後で5から6階までリフトを増設というぐあいです。長くなりましたので残りは次回に。

平成11年6月25日  五十嵐 節 

「ドイツ紀行 その1」について 

 メールフレンドの五十嵐氏が電動車椅子でドイツ旅行を計画していると聞いて、本当に可能であるかどうか半信半疑でありました。身障者の海外旅行体験記などの本を紹介してもらい、その内容から重度の障害にもかかわらず単独で海外旅行されている強者もおられるようで大変心強く感じたものです。いつか自分もそういう旅をしたいと感じるようになっていましたら、それを五十嵐氏に先を越されてしまいました(^o^) 海外においてトラブルが一番心配されるところですが、無事ご帰還されて本当に良かったと感じております\(^o^)/
 なお「ドイツ紀行」のメールを送ってくださり本当に有難う用ございました。いろいろ参考になります\(^o^)/

 欧米に行かれた方からよく聞くのですが、あちらの方はこちらが困っている様子だと、自然に手伝ってくれるというのです。日本ではまだまだ率先して力がいることをしようとする人は少ないようですが、最近少しづつではありますが嬉しい変化が出てきております。「エレベーターの前で車椅子利用者のためにボタンを押す場面」がTVで流れておりますが、私もエレベーターの前で恩恵を預かる一人なのです。
 また、日本では、JR・私鉄・地下鉄などどれをとってみても電車はほぼ決められた位置に停車します。日本の鉄道(の職員)は決められたことに対してはとても優秀で世界に誇れるようにも感じました。 

 それにしても、欧米で障害者に対しての接し方がどのように違うか、私も肌で感じたいと思っている今日この頃です。 

 「ドイツ紀行 その1」は、五十嵐氏からの要点のみのメールをまとめたもので、掲載については氏の承諾を頂いております。  

 五十嵐氏へ直接メールを送りたい方はこちらへ。五十嵐 節「ingar@coral.ocn.ne.jp」

by sennin 

ドイツ紀行 その2 

 

その他に戻る>