町角のバリアフリーの意識

3) 身体障害者用トイレの手すりについて

A.水平方向に可動 B.水平方向に可動 C.上下方向に可動

 高齢者・身体障害者等が円滑に利用できる特定建築物の建築の促進に関する法律(ハートビル法)が平成6年に施行されました。(平成21年3月現在はバリアフリー新法に含まれています)

 病院・劇場・観覧場・集会場・展示場・百貨店その他の不特定かつ多数の者が利用する政令で定める建築物(特定建築物)を建築しようとする者(特定建築主)は、出入り口・廊下・階段・昇降機・トイレその他の建築省令で定める施設が高齢者・身体障害者にとって円滑に利用できるようにするための努力をしなければならない。

 地方公共団体は、国の施策に準じて高齢者・身体障害者等が円滑に利用できる建築物の建築を促進するように努めなければならない。

 前述はハートビル法を簡単に要約したものですが、この法律が施行されて益々身障者用トイレの設置が多く見られるようになって来ました。

 そして身障者用トイレのスペースが割と広くゆったりとしてきて、現在ではトイレのなかにベビーシートや幼児用の小さい椅子などの設置も見られる多目的トイレとなってきました。

 身体障がい者用トイレのなかには、壁側にL字型手すり(上写真Bのようにない場合もある)とその反対側には可動式手すり(固定式手すりの場合もある)を設置しています。このページでは可動式手すりの材質の移り変わりについて少し述べたいと思います。

 可動式手すりについて、上写真(A)のように水平方向に可動するステンレスのみの手すりから、(B)のように手を置くであろうと思われるヶ所だけ一部分にステンレスの表面に樹脂を被覆した手すりが出てきたり、ここ2〜3年前より、省スペース対応のはね上げ手すり(上下方向に可動)(C)が市販されるようになり、この手すりはステンレスの表面に軟質樹脂を被覆したもので冬の寒い時期に手すりに触っても冷たくないように工夫されたものです。

 福祉住環境コーディネーターの2級テキストではトイレ(木製も可)の手すりの材質として樹脂被覆製を推奨しています。

 手すりの直径は、力を入れやすく、かつ握りやすくすることを考慮して、福祉住環境コーディネーターのテキストでは直径28〜32mm程度と書かれています。(福祉住環境コーディネーターでは、使用者に合わせて寸法を決めるというのが前提ですので、直径が28〜32mmというのはあくまでも目安ということだと思っています。)

 某社の身障者用のトイレの手すりの直径は34mmでした。

 

 
D.水平方向に可動 E.水平方向に可動 E.取っ手をスライドさせて調節

 最近の身障者用トイレの手すりとしては、スペースは勿論のことですが強化プラスティック製なのでしょうか材質についてはっきり断定は出来ませんが、ステンレスの表面に樹脂被覆したものより軽いように感じました。

 それに(A)の手すりのように、外側の調節バーに手を伸ばすことなく(D)や(E)のように手元にレバーないしは取っ手があるので操作し易くなっています。 

 最後に、この可動式の手すり(A)について、大手二社の総合カタログを見ても定価が高いように感じます。もう少し価格を押さえてくれると有り難いのですが・・・・・・・・・ 

平成13年5月 

 (平成21年3月)

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