バリアフリーの認識
DISABILITIES P4
日本においてバリアフリーの認識
日本のバリアフリーは欧米に比べて数年遅れているとよく耳にするのですが、パリに行ってみて日本の良さを感じてしまいました。日本では1994年に高齢者・身体障害者等が円滑に利用できる特定建築物(※3)の建築の促進に関する法律(ハートビル法)が制定されました。この法律によって、特定建築物の玄関(出入り口)・廊下そしてトイレその他などがバリアフリーとなってきて、部屋内のトイレや浴室が車椅子対応になっているホテルも増えています。
車椅子対応のトイレのドアは幅の広い引き戸(又はユニバーサル・デザインのドアも見かけます)でなかのスペースも広いのです。SenninのHPで紹介している宿泊施設についてですが、これらの車椅子に対応した宿泊施設の部屋は日本では珍しくありません。
SenninのHPでは、車椅子を利用していると言えども皆障害の程度が違うということに配慮して、便器や浴槽周りの写真を掲載しております。両下肢麻痺・半身麻痺(右上肢右下肢麻痺又は左上肢左下肢麻痺)・足の切断・長く歩けないので車椅子を利用しているなど、車椅子を利用していても人それぞれに障害の程度には差がありますから、便器や浴槽周り状況の写真を見て、各々にとって利用可能かどうかを判断してもらうために掲載しているのです。特に下半身だけでなく上肢(体幹機能障害や指先・握力・肩や腕)にも機能障害がある方のために写真を掲載するようにしています。
日本ではハートビル法によって、下記のような整備基準があります。また、独自の「まちづくり条例」によって施設整備を進めている県や市町村もあります。欧米と呼ばれるなかで、特に英国・デンマーク・スウェーデンそして米国については福祉の面で日本より優れた点があることを聞いておりますが、欧州の国全てが日本より福祉の考え方や設備整備の面で優れているということではないと思っております。
また、日本では2000年には「高齢者、身体障害者等の公共交通機関を利用した移動の円滑化の促進に関する法律(交通バリアフリー法)も制定され、「まちづくり条例」とともに地域全体がバリアフリーに関する設備整備を益々向上させて行く傾向にあると感じております。
senninさんの住んでいる町でも、公共施設や特定建築物の大部分は車椅子使用者(肢体不自由者)及び視覚障害者にとって勿論バリアフリーになっておりますし、小規模店舗の入口がスロープになっていたり車椅子が通れる幅の入り口になっていたり、レストランのなかに車椅子対応のトイレを完備しているところさえあるのです。
建物の整備項目 |
ハートビル法誘導的基準 |
出入り口 |
幅は、内法を90cm以上とすること。 |
敷地内通路 |
幅員は、180cm以上とすること。敷地内の通路に設けられる傾斜路の勾配は、15分の1を超えないこと |
廊下 |
幅は、内法を180cm以上とすること。廊下等に設けられる傾斜路について、幅は内法で150cm以上とし、
勾配は12分の1を超えないこと。 |
階段 |
幅は内法で150cm以上とすること。蹴上げの寸法は16cm以下、踏面の寸法は30cm以上とすること。
両側に手すりを設けること。 |
便所 |
車いす利用者が円滑に利用できるよう十分な床面積が確保され、かつ腰掛便座、手すり等が適切に配置
されていること。出入り口の幅は、内法を80cm以上とし、車いす使用者がが円滑に開閉して通過できる
構造とすること。 |
駐車場 |
車椅子使用者用駐車施設の幅は、350cm以上とすること。 |
昇降機 |
かごの床面積は、2.09u以上とし、かごの奥行きは内寸を135cm以上とすること。かご及び昇降時の出入
り口の幅は、それぞれ内法を90cm以上とすること。 |
ここに記述するハートビル法の誘導的基準の内容のほかにも記述されていますが、国際シンボルマーク基準と比較するために簡単に述べるにとどめます。
ハートビル法誘導的基準は「高齢者、身体障害者等が円滑に利用できる特定建築物の建築の促進に関する法律に基づく告示」をご覧下さい。
(※3)特定建築物:病院、劇場、観覧場、集会場、展示場、百貨店その他不特定かつ多数の者が利用する政令で定める建築物をいいます。
それでは、今回具体的に設備にどのような違いがあったのでしょうか。
平成15年1月中旬 現在
バリアフリーに対する認識
ホテル申込の経緯と実態 / N旅行会社の手配の仕方とホテルの星 / パリにおいてのバリアフリーの認識
日本においてのバリアフリーの認識 / パリと日本の設備の違い / 旅行会社の手配の仕方に望むこと