町角のバリアフリーの意識

 

30) 興陽高校「50周年記念庭園」のバリアフリー化 

平成 24年 3月 22日 撮影 

A、全景 B、噴水とブルーのネット C、石のテーブル

造園デザイン科 3年 15名(平成23年度)

 概要と感想

 大正6年(1917年)4月27日岡山県児島郡興除実業学校として認可され、昭和42年(1967年)に創立50周年記念として「50周年記念庭園」が作庭されたようです。
 本年度は昭和40年度・昭和41年度・昭和42年度の卒業生一同から寄贈された「50周年記念庭園」のバリアフリー化であります。

 「50周年記念庭園」は今から40年以上経っていますので、バリアフリー(1974年国連障害者生活環境専門家会議の報告書のなかで使われた言葉)という言葉が日本で使用されていなかった時代です。ですから、ページの一番下の写真で分かりますように、正面入口二段の階段になっていることから利用対象者は歩行者のみと想定してつくられたと思われます。 

 庭園の紹介に入る前に、まずバリアフリーUD(ユニバーサルデザイン)について記述しますと、バリアフリーとは、新しくつくる建物や既にあるものに対してのバリアをなくするという物理面だけでなく、情報面制度面人の心といった精神面などの様々な障壁を取り除いて高齢者障がい者(手足の障がい・視覚障がい・知的障がい・精神的障がいなど)・乳幼児連れ外国人・その他困っている人などが社会に参加できるようにすることであると思っています。

 UDは新規につくるものについての製品人をとりまく環境づくりについて7つの原則(公平性・柔軟性・単純性と直感性・認知性・安全性・効率的で疲れない・利用のためのサイズと空間があること)があり、最初からバリアのない世界を目指していますが、それは主に物理面についての原則であると考えています。

 現状ではバリアフリーとUDのどちらの考えが優れているかを問題にするのではなく、「よりよい社会」そして「過ごしやすい町づくり」にしていくためには両方の考え方が必要であると思っております。

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 さて、40年以上前ににつくられた「50周年記念庭園」は、ページの一番下の写真で分かりますように、正面入口通路二段の階段があることから、バリアフリー化前は車いす利用者の私には入って行けない無縁の場所だと感じていました。

 この場所は先輩方が寄贈してくれた庭園ですので、本年度の生徒さん達は、先輩方の思いを大事にしたいと考え、噴水や樹木ワシントンヤシ・フェニックス・ヒラドツツジ・サツキなど)を残しながら、いかに自分達らしい庭園のバリアフリー化ができるかが課題だったように思います。
 水槽転落防止のネットの設置という斬新な大変素晴らしいアイデアに驚きと感心をし、生徒さん達にまた教えられた実習授業の内容でもありました。

 何もない更地からUDを目指して作庭するのも大変難しいと思いますが、特に水回りの配管などの位置が変えられないとか、つくった人の思いを大切にして変更できないという制約(制限や条件)があるなかで既存の庭園バリアフリー化するというのは大変難しいことだと思っています。

 左上写真Aで分かりますように、正面入口通路幅を広げてインターロッキングブロックを敷き詰めてゆるやかな勾配になっていますので、車いす利用者が楽に車いすを進めて行くことができるようになっています。一目で正面入口と分かるように高さ235cm(廊下側)奥行き473cmアーチをつくっています。

 アーチの傍からカロライナジャスミンが成長し黄色の花や緑でアーチを覆うようになればもっと華やかになりますので、積極的にアーチをくぐってみたいという人も多くなるのではないかと思っています。
 
 正面入口の他3つの通路はこれから後の隣接するスペースのバリアフリー化との関係もあり、現在は正面通路よりは少し勾配があるように感じています。
 噴水周りの通路フラット(平ら)通路幅を広げて、車いすと車いすや車いすとベビーカーなどがすれ違えるようになっています。

 中央上写真B噴水の水槽について、当初からどのようにして安全性を確保したらいいか戸惑っていたわけですが、戸惑っていたのはどうやら私だけのようです。昨年10月に訪問した時に、水槽の内側にネットを張って安全性を確保する方法に大変驚きそして大変感心いたしました。
 子供が誤って落ちる可能性や高齢者が淵に腰掛けてバランスを崩して倒れる可能性をちゃんと把握してネットを設置していることをレポートで知ることができました。アンカーの数も当初の予定よりも増やしたということで隙間を少なくできている思います。大変素晴らしいアイデアだと思っています。

 右上写真Cは、車いすに対応した石のテーブルですが、1月27日に設置されていた時に、生徒さん達が車いすに乗って確認したところ、テーブルの位置が少し高かったのでその後足を切断し脚の長さを67cmにして設置しなおしたものです。(石の天板の厚さ:7cm
 脚と脚の間は70cmで、右上写真Cで分かりますように噴水側から車いす2台分あります。今回初めて屋外に常時設置のテーブルができました。
 石のテーブルがあることで癒される空間をイメージさせてくれますが、車いすに対応しているということで大変嬉しいことであります。

 右上写真Cで、車いすに対応した石のテーブル後ろに見えます通路は、屋外ステージ側(東側)の通路です。  

 その他、正面入口通路や水槽周りの通路と他3つの通路゚ではインターロッキングブロック色の使い分けをしたり、正面入口に「2011 ZOEN」という文字をブロックで描いています。自分達なりのこだわりを主張しているようです。芝生はティフトン419で成長が早い品種ですので、まもなく生え揃って見栄えが良くなってくると思います。
 それから、水槽の縁の内周はブルーに塗り、外周の壁に化粧板を貼ることで大変見栄えが良くなりました。

  施工について、昨年10月に訪問した時と12月に訪問した時と、庭園の様子にほぼ変化がありませんでした。尾畑先生から10月岡山市緑化推進フェア2011年11月興除公民館40周年記念坪庭の作成があったりと、年間の作業時間の配分としてここの庭園にあまり時間をかけられなかったとお聞きしました。

 また、尾畑先生からアールの部分が多く、通路等のインターロッキングブロックの細部に考慮する必要があったので思ったより時間がかかってしまった。とお聞きしました。何気なく見ているヶ所が、苦労していたり時間がかかっているものだと改めて思いました。
 そういうなかで、年間の作業時間が少なかったにもかかわらず、短期間でここまで庭園を仕上げてきたのは、さすがに造園デザイン科の生徒さん達だと感心しております。

 庭園全体の構想についての質問に、設計責任担当者の高田君のレポートに、誰でも気軽に入って休憩できるような空間にするために、インターロッキングブロックを通路にはって通りやすく、噴水周りは危険を少なくし、南国風の花を植え正面にはアーチを作るなどしました。と書いてくれています。
 車いす利用者の私にも高齢者や子供さん達にも優しいスペ−スになっていると思いますし、多くの生徒さん達にとっても癒される空間になったのではないかと思っております。

 どうぞ、お時間がありましたらバリアフリー化された「50周年記念庭園」とともに昨年度までにつくられた十のバリアフリー庭園で、ゆっくりと歩みを進めて気持ちをリフレッシュさせていただきたいと思っております。

 最後に、ネットのアイデアを出した生徒さんも大変素晴らしいですが、予算を獲得してそれを実行にうつされた校長や副校長をはじめとして造園デザイン科の先生方にも拍手を送りたい気持ちであります。
 実習授業として、これほど素晴らしい庭園をつくりあげてしまう生徒さん達を指導する興陽高校の先生方奥深い考えや指導力や技術力の高さにあらためて感服しております。

 ※施工の過程については、ページの一番下からみてください。 

岡山県立興陽高等学校
  住 所 : 岡山県岡山市南区藤田1500
  電 話 : 086-296-2268(代表)
  URL  : http://www.koyohigh.okayama-c.ed.jp/

 「造園デザイン科 第3学年 庭園施工管理類型 15名

 (造園デザイン科 科長 尾畑篤司先生、穐田 守先生、田中賢造先生、平松 直先生

 内閣府特命担当大臣表彰優良賞受賞(平成19年度バリアフリー化推進功労者表彰) 受賞者一覧

山陽学園大学
  住 所 : 岡山市中区平井一丁目−14−1
  電 話 : 086-272-6254(代表)
  FAX  : 086-273-3226
  URL  : http://www.sguc.ac.jp/

  総合人間学部 生活心理学科
 
  澁谷俊彦教授 (倉敷市伝統的建造物群等保存審議会会長、岡山県環境審議会委員)

 

平成 24年 1月 27日 撮影

D、全景とアーチ E、水が入った噴水 F、石のテーブルといす G、高さを確認

 下記は、設計と施工について、平成23年12月15日以降に各代表の生徒さんが庭園施工管理類型の生徒さん達の意見をまとめてくれたものです。(平成24年1月27日 現在) 

設計責任代表者(高田 智哉) 施工責任代表者(荒谷 育大)
 「50周年記念庭園のバリアフリー化」をどのような思いで計画さ
れたのでしょうか。


1、年度初めに考えた庭園全体の構想を教えてください。
 

誰でも気軽に入って休憩できるような空間にし、インターロッキング

 ブロックを通路にはって通りやすく、噴水は危険を少なくし、南国

 風の花を植え、正面にはアーチをつくることを計画しました。


2、既存のままにしておきたかったヶ所と理由について。 

 

噴水は庭のシンボルなので、あまり変えずに残しました。

・南国風の植物は庭の雰囲気を決めるものなので、そのままにし

 ました。 

 

3、噴水の周りをどのようにしたいと思いましたか。

 

・噴水の周りで休めるように、テーブル等を作りました。

・車イスの人がすれ違えるように、園路の幅を広くしました。

・階段をスロープにして、車イスの人でも入りやすいようにしました。

インターロッキングブロックを敷くことで彩り良く、温かみのあるよう

 にしました。 


4、今年度の生徒さんらしさを出したヶ所について。

 

・庭の入口に植物をはわせたアーチを作りました。

・既存の庭を施工しなおすということで、前の先輩方の思いを大事

 にしました。

噴水の中やブロックの色あいが綺麗になるように工夫しました。

車イスの方でも利用できるテーブルを設置しました。

 施工に関して個別に難しかった点や工夫した点いついて。
1、噴水の水槽への転落防止の対策と対象者について。

子供がのぞきこんだり、水をさわろうと前かがみになった時に誤って落ち
 て溺れてしまう可能性
があるから。
・噴水のふちに腰かけた時に、バランスをくずして後ろに倒れてしまう可能
 性
があるから。
・バリアフリ−にする対象者は、小さい子供、高齢者、障がいを持った方々

水槽のバリアフリー化後
ネットの設置
 幅:80cm、円周のサイズ:40m、ネットと水槽枠の隙間:9.5cm
 支柱の間隔:2mで16本
アンカーの打ち込みが難しかった。隙間を狭くするために、アンカーを当初
 の倍の16ヶ所に増やした。
 

2、通路のバリアフリー化について 

・バリアフリー前:
 正面入口の階段は石で、通路幅は1.1m。コンクリート。
 水槽周りの通路幅は1.3m、コンクリート。
 その他の通路幅は1.1m、計4ヶ所、コンクリート。 

◎バリアフリー化後
・車イスががすれ違えるように通路の幅を広くするとともに、階段だった入口
 をスロープにすることで誰でも入りやすい空間になりました。
通路には赤・白・黒のインターロッキングブロックを敷き、スロープにはオレ
 ンジ系
のブロックを使用しました。
・自分達がつくった証として正面に「2011 ZOEN」という文字を残しました。  

3、コーナー(土部分)スペースの利用について 

・バリアフリー前:
 雑草が茂っていて歩きにくく見た目も悪い状態でした。
 ただの土だったので、転んだ時に怪我をする危険がありました。 

◎バリアフリー化後
芝生(ティフトン)を植え、転倒時の危険を減らすと同時に見ばえも良くな
 りました。
車イスでも気軽に休憩できるようにテーブルを設置しました。
・ブロックと芝生の間に土を盛り、車イスが脱輪するのを防ぐようにしました
・芝生をはることで、寝転がって休めるようにしました。  

4、正面アーチで工夫した点について 

・バリアフリー前:
 元は階段で、通路幅1.1mしかありませんでした。 

◎バリアフリー化後
緩やかなスロープをつくり、インターロッキングブロックを敷いて「2011 ZOEN
 という模様をつくりました。
アーチをつくったことで入口が分かりやすくなり、見た目もきれいになりました。
花や緑が誰にでも見やすいようにしました。 

5、その他工夫した点について

・バリアフリー前:
 雑草が多く生えており、元は土で車イスの方が休憩できる机などはありませ
 んでした。 

◎バリアフリー化後
車イスの人でも休憩できるテーブルを設置しました。(車イス2台分入れます)
・低木をきれいに刈りそろえ、景観を良くしました。
園路の幅を車イスがすれ違えるように広くしました。 

 概要と感想

 左上写真Dは、庭園の正面入口通路に設置されたアーチで、写真では分からないかもしれませんがアーチに植物が少し覆っていました。中央上写真Eは、水が入った水槽とネットの設置状況であります。
 中央上写真Fは、石のテーブル丸太のいすであります。いすには4本の足があり木が腐らないように数センチ上げています。右上写真Gは、生徒さん達が車いすに乗って石のテーブルの高さと幅を確認しているところです。その結果、テーブルの天板の位置が少し高く感じたようです。(天板の厚さ:7cm

 左下写真Hは、正面入口通路のアーチブロックの間にある石の上にある孟宗竹で車いすのキャスター止めになっています。中央下写真Iは、生徒さん達が自主的に車いすに乗ってスロープを自力で上がれるか体験しているところです。

 中央下写真Jは、澁谷先生(左)と黒川副校長(右)ですが、50周年記念庭園のバリアフリー化についてお話をしているところです。
 バリアフリー及びUD(ユニバーサルデザイン)について、校長・副校長をはじめ授業に携わる先生方関心が大変高いこととご理解によって、のびのびと生徒さん達がアイデアを出し施工ができるのだろうと察しています。

 右下写真Kは、尾畑先生(左)と平松先生(右)が授業の準備をしているところであります。。

H、車いす止め I、車いす体験 J、澁谷先生と黒川先生 K、尾畑先生と平松先生

 

平成 24年  1月  23日 撮影 

 
L、 アーチ  M、石の支柱  N、芝 O、伊予の青石 

 概要と感想

 左上写真Lは、正面入口通路にアーチであります。中央上写真Mは石の支柱で、この上に石の板天板として置かれる予定ですが、まだ石の板が学校に来ていないこととこれからの作業について尾畑先生が説明してくれているところです。(今日時点では石板の厚さが不明ということでした)

 中央上写真Nは、ブロックとの境は土を盛り上げ芝を植栽しているようです。現在は写真のとおりロープが張られています。

 右上写真Oは、水槽の縁の上に貼ってある伊予の青石ですが、欠けたところがありましたが修復されておりました。 40年以上前に工事した時の余り石をとっておいたということで修復が可能だったと聞きました。

 青石の余り石を40年以上も取っておいたとは、驚き学校自体のふところの深さを感じます。

 

平成 23年 12月 15日 撮影 

P、全景 Q、ネットとアンカー R、2011 ZOEN S、通路

 概要と感想

 左上写真Pは、正面入口から撮影した庭園の全景であります。中央上写真Qは、アンカーとネットを拡大した様子であります。中央上写真Rは、正面入口通路に「ZOEN 2011」と生徒さん達の年度を残したものです。

 右上写真Sで分かりますように、水槽周りの通路がインターロッキングブロック舗装されていました。

平成 23年 10月 11日 撮影 

T、正面入口 U、ネット設置 V、水槽周り W、黒川副校長と先生方

 概要と感想

 左上写真Tは正面入口通路ですが、写真で分かりますように一部モルタル、大部分はインターロッキングブロック舗装されています。緩やかな勾配のスロープになっており車いすでとても走行しやすくなっておりました。

 中央上写真Uは、転落防止のためにブルーのネットが設置されていました。転落防止の方法としてネットの設置とは、正直に申しますとここまでやるとは思っていなかったので驚いてしまいました。中央上写真Vで分かりますように、水槽周りの通路にインターロッキングブロックを張っている途中であります。

 右上写真Wは、黒川副校長(左)と澁谷先生(中央)と田中先生(右)が噴水と水槽を見ながら造園について話をしているところです。

 それにしても、10月3日の写真で分かりますように、なかなか作業が進んでいないと感じていましたが、アンカーを打ち込み、水槽の内側をブルーに塗りネットの設置をやり終え、通路にインターロッキングブロックを張る作業も進みつつあります。

 平成24年1月27日の授業で、生徒さんに「50周年記念庭園」のバリアフリー化について聞いたところ、アンカーの設置作業がうまく行かず難しかったという感想がありましたが、10月3日からほんの数日間の授業時間でここまで作業が進んでいるとは思いませんでした。

 ここの造園デザイン科の生徒さん達の底力のようなものを感じてしまいます。

 来年1月末までに、車いすに対応したテーブルを設置することと、正面入口通路にアーチを設置する予定だと先生から伺い、次回の訪問が楽しみになってきました。

 

平成 23年 10月 3日 撮影

X、正面入口ブロック Y、校舎側入口 Z、コンクリート通路 AA、水槽内側塗装

 概要と感想 

 左上写真Xは正面入口ですが、ブロックが積み上げられていました。中央上写真YとZは、農業棟の校舎側にある通路であります。水槽周りの通路もコンクリート舗装のままでありました。

 右上写真AAで分かりますように、水槽の内側の壁が白色からブルーに塗られていました。

 

平成 23年 6月 24日 撮影

BB、全景 CC、正面入口段差解消 DD、通路と植栽 EE、北側通路

 概要と感想

 左上写真BBは、「50周年記念庭園」の全景でありますが、とても背の高い樹木(ワシントンヤシ)がありカメラに入りきらないほどです。このページで唯一ワシントンヤシが写っている写真であります。他にもフェニックスやヒラドツツジやサツキなどが植栽されています。

 作庭されたのが40年以上前ということで、その頃は新婚旅行南国の宮崎辺りが人気があったように聞いています。この庭の樹木の植栽もその影響かもしれません。

 中央上写真CCで分かりますように、中心に噴水がありその周りに直径約12.7mのやや大き目の水槽があります。正面通路のコンクリートは取り除かれて、石積みされた二段の段差も無くなって土舗装になっていました。中央上写真DDは、噴水斜め横側から見た正面通路であります。

 右上写真EEは噴水周りの通路で、まだコンクリート舗装のままですが、土の部分から察すると通路幅を広げようとしているようです。脇から噴水への通路は正面通路他に3通路ありますが、右上写真EEは北側からの通路であります。通路はコンクリート舗装から土になっていました。

 左下写真FFは、「創立 50周年記念」の記念碑であります。中央下写真GGは、「創立五十周年記念」「内閣総理大臣 佐藤栄作書」と刻まれています。日本の高度経済成長期に自民党最多の4選を果たし、日本より海外の評価が高く「ノーベル平和賞」を受賞された首相であります。

 中央下写真HHのプレートには、「寄贈 昭和40年度 昭和41年度 昭和42年度 卒業生一同」の文字があります。水槽の壁はコンクリートになっていますが、石の化粧板を貼った後にブロックで押さえていました。水槽の内側は白色となっています。

 右下写真IIは正面入口通路ですが、両脇は石積みされていて土舗装になっていました。

 さて、現時点での今年度の改修プランについて
・右下写真IIの正面入口(廊下側の通路)は、プラスティック製のものを組んでアーチをつくりたいとのこと。
・噴水周りの通路と正面とその他3本の通路は、インターロッキングブロック舗装とする。現在コンクリート舗装部分と土の部分をインターロッキング舗装にしたいとのこと。
・花木の植栽について、南国風(熱帯風)にしたいので「ハマユウ」も案のひとつである。実習教室より遠いので水やりをしなくていいもの、冬場にもつ花を模索中であるとのこと。
車いす対応の石のテーブルの設置を考えている。

・現在、噴水周りのコンクリート枠に、石の化粧板を貼っているところであります。

FF、記念碑 GG、佐藤栄作書 HH、化粧板と水槽 II、正面入口

 

平成23年 1月 27日 撮影 

JJ、噴水(全景) KK、噴水とプレート LL、段差

 概要と感想

 左上写真JJは、興陽高校の「50周年記念庭園」として設置された噴水の全景であります。噴水の周りにはフェニックス(宮崎県の県木)が植栽されています。

 中央上写真KKの水槽の外周の中央にプレートが見えていますが、「寄贈 昭和40年度、昭和41年度、昭和42年度 卒業生一同」とあります。約40年以上前に作庭された庭園のようですので、入口通路や水槽の外周のコンクリート舗装された通路部分が黒ずんでおります。

 右上写真LLは、通路の入口にあった石積みの二段の階段であります。平成22年度「まくあいのこかげ」の授業の後で、この場所を見学に来たのですが、車いす利用者の私には容易に入っていけない庭園であると感じました。

 今年度の生徒さん達が、この噴水周辺の「50周年記念庭園」を、どのようにバリアフリー化するのかが楽しみであります。

平成24年 3月 下旬現在

 

バリアフリー庭園について

まくあいのこかげの入口 各庭園のイラスト
平成26年3月31日 撮影 平成26年3月31日 撮影

※上写真は、バリアフリー庭園十ヶ所の位置と様子を描いた案内板ですが、「まくあいのこかげ」の入口にありました。

案内板は、下記説明の「山野草園」「実のなる庭の実のなる木「四季を彩る庭」流れのある庭」「バリアフリー展望台「友集の丘」和楽の庭」「見本庭園のバリアフリー化」「干拓地の生き物を知る」「万葉の小径」「まくあいのこかげ」など、10庭園の位置情報であります。

 私はたまに京都の観光地(神社や寺)や町を散策することがありますが、古い建物とバリアフリーとの融合の難しさを感じます。ここの「バリアフリー庭園」では当初から和風テイストのうえにバリアフリーUD(ユニバーサルデザイン)をうまく融合させているように思います。京都の観光地(神社や寺)や町とはが違いますが、和風テイストとともにここ独自の庭づくりに挑戦していてほんとに素晴らしい庭(空間)が出来上がっていると感じております。

 バリアフリー庭園平成13年度から作庭していますが、高齢者車いす利用者視覚に障がいがある方そして子供さん達などが容易に庭園内を散策できるようになっています。
 このサイトでは3年目の平成15年度から庭園の紹介をしております。

 平成13年度の「山野草園」では「露地門」や「灯篭」や「水琴窟」、平成14年度「実のなる庭の実のなる木」では「四つ目垣」や「スロープ」、平成15年度の「四季を彩る庭」では「木製のかけ橋」や「石垣」や「花時計」、平成16年度の「流れのある庭」では「浅瀬の細長い池石橋」や「乱杭(木製)のキャスター止め」、平成17年度の「バリアフリー展望台「友集の丘」では「らせん状の石垣」と「長いスロープ」、平成18年度の「和楽の庭」では「石の顔」にこだわり「矢掛の青御影や万成石や豊島の石」などを配置したり、パーゴラ長いすの周りに集うことがでるスペースをつくったり「盆栽」置場として整備してきました。

 平成19年度の「見本庭園のバリアフリー化」では「露地門」や「建仁寺垣」や「腰高麗袖垣」そして「山目地の工法による石畳のバリアフリー化」をし、平成20年度の「干拓地の生き物を知る」では絶滅危惧種に指定されている魚や植物の保護のために細長い池をつくり、各庭園石橋インターロッキングブロック舗装で結び一つの庭として高齢者や車いす利用者や子供さん達などが容易に散策できるようにしました。

 平成21年度の「万葉の小径(まんようのこみち)」では、時という壁(バリア)を超えて万葉人(まんようびと)の心に触れられるような庭園をつくりました。石の桁と板をつかった転落防止竹の柵インターロッキングブロック舗装縁石・乱杭・低い四つ目垣・太い竹の車止めなど、これまでの庭園施工の技術面がまとめて取り入れられています。
 万葉集で詠まれた庭や植枡に植栽し、生徒さん達や先生方短歌も紹介しています。

 昨年度の「まくあいのこかげ」(「幕間の木陰ひらがなで明記」)は、バリアフリー庭園をつくり始めて10年目最後の年で、バリアフリー庭園全体の入口となる庭園をつくることになりました。車いす利用者が使用できる洗面台や子供さんのための足洗い場屋根のある休憩所長いす大きな樹木の木陰などがあり、皆さんがくつろげる広場となっております。

 区画ごとにテーマは違いますが、興陽高校では各庭園バリアフリー庭園と呼んでおります。では、なぜバリアフリー庭園と呼んでいるのか。それは、物理面でUDを目指した作庭というだけでなく、バリアフリーをより広くとらえて日本の伝統的文化や歴史そして自然保護なども考えてきたからであります。

 どうぞ、「バリアフリー庭園」全体を散策して、生徒さん達の作品と心を堪能していただきたいと思っております。

 

平成15年度「四季を彩る庭」  / 平成16年度「流れのある庭」 / 平成17年度の「バリアフリー展望台「友集の丘(ゆうしゅうのおか)」

平成18年度「和楽(からく)の庭」 / 平成19年度「見本庭園のバリアフリー化」 / 平成20年度「干拓地の生き物を知る

平成21年度「万葉の小径(まんようのこみち)」 / 平成22年度「まくあいのこかげ」 / 平成23年度「50周年記念庭園のバリアフリー化

平成24年度「50周年記念庭園のバリアフリー化パート2」 / 平成25年度「LINK〜時を刻む〜」 / 平成26年度「香楽園(こうらくえん)」 

平成27年度「鳥達の集う滝」「クジラの庭のスロープ」 / 平成28年度「記念庭園のバリアフリー化」  / 平成29年度「記念庭園のバリアフリー化」のパート2

平成30年度「記念庭園のバリアフリー化パート3」 / 令和元年度「記念庭園のバリアフリー化パート4」と記念碑周りの整備 

日本における住環境の現状 / 福祉住環境コーディネーター / 住環境の整備について

介護保険制度と住生活との関係 / 町角のバリアフリーの意識 / 住環境についての質問コーナー