A、記念庭園の池沿い園路 | B、記念碑前の園路 | C、香楽園から延長した延段の園路 |
造園デザイン科 庭園施工管理類型 3年 22名(令和元年年度)
公共性の高い庭園は、多くの利用者が使用しやすいかどうかで評価される場合が多いと思いますが、このページでは、多くの人が利用しやすい庭園をつくる過程とともに、興陽高校の造園デザイン科の生徒さん達の技術力と感性の素晴らしさをお伝えしたいと思っています。
興陽高校の造園デザイン科 庭園施工管理類型 3年の生徒さん達の「記念庭園のバリアフリー化」パート4と、記念碑周りの整備(「50周年記念庭園バリアフリー化」パート3)、そして香楽園から延長した延段の園路の作庭において、授業のなかで生徒さん達が苦労したことや工夫したことなどを記述したいと思っています。
それから、造園の施工とは関係ないですが、令和2年2月に流行しました「新型コロナウイルス」の感染拡大防止のために、安倍総理が「全国全ての小学校、中学校、高校、特別支援学校について、3月2日から春休みまで臨時休業を行うよう要請した」ということをテレビのニュースで知りました。
今年は、東京オリンピック・パラリンピックが開催される予定になっておりますので、一刻も早くこの事態が終息してくれることを祈っております。
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今年度は、同窓会記念館の記念庭園(日本庭園)のバリアフリー化パート4(P4と表示していきます)と、50周年記念庭園のバリアフリー化パート3(P3と表示していきます)として「記念碑」周りの整備、そして「香楽園」の延段の園路の延長等、おおきく分けて3つの施工地を整備しました。
人数を振り分けて、それぞれの施工地で作業するわけですが、一つの施工地に専念して作業すると、他の施工地の作業内容が分からないままで卒業してしまうのではないかと心配しておりました。
しかしながら、作業日誌を使って、毎回の実習で1人その日の実習内容をまとめる人を作ったり、1人1人毎回の実習でまわれるようにし、そうすることによって、お互いの実習内容を共有できるようにしました。という授業に対しての生徒さん達の姿勢を、下記の1月20日付のレポートで知り安心しております。
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さて、今年度は、記念庭園のバリアフリー化P4として、記念庭園のバリアフリー化の総まとめであり、日本庭園とバリアフリー化との融合の集大成ということになろうかと思っています。
ここの記念庭園は、日本庭園としてのつくりが大変こったもので、大きな石灯籠・池・飛石・大きな石の配置・植栽・小さな滝など、その当時大変熱い思いで作庭された庭園だと推測されます。
ですから、日本庭園とバリアフリー化との融合において、どのようになるのか大変気になるところでありました。
「記念庭園のバリアフリー化」P1では、「あずまや」まで車いすで上がれるように、勾配1/15以下のスロープを作ってくれました。そして、転落防止の四ツ目垣(ヨツメガキ)やキャスター(車いすの前輪)止めとして太い孟宗竹を設置してくれました。同窓会記念館のお茶室を意識して、ブロックの色合いは渋めにしたり、初めて「固まる土」を採用しました。
「記念庭園のバリアフリー化」P2では、「あずまや」の床を三和土(たたき)に改修し、「あずまや」西側の園路の幅を広くし、築山(つきやま)の土留めのため野面石積みにしました。それから、「しがらみ」の柵沿いの園路と広場までインターロッキングブロック施工をしました。
「あずまやの三和土(たたき)」・「しがらみ」・「野面石積み」・「挿し石」などの伝統的技術にこだわり、「あずまや」西側の園路から広場まで、車いすで容易く進んで行けるようになりました。
「記念庭園のバリアフリー化」P3では、広場から二方向に園路をのばし、ヤエザクラの木の周辺で合流するまでを施工してくれました。園路のインターロッキングブロックは昨年度と同様に目立たない渋い色合いにしていました。二つのスロープは、車いす利用者のために勾配1/15以下になっています。池沿いの園路は、一部木の根が張りだしていて幅1mになっていますが、おおよそゆったりとした通路幅になっております。
丸太を重ねて車いすのキャスター止めを園路沿いに設置していました。
4年目となる令和元年度は、「記念庭園のバリアフリー化」P4として、記念庭園バリアフリー化の最終章であり、池沿いの園路の整備と、池への転落防止策として垣根を設置しました。
池沿いの園路のキャスター止めは、ベビーカーの大き目の前輪に対応できるように、すべて丸太を三段重ねにしております。
池沿い園路の途中に、クロガネモチ(アクラ)の根が長く池の方までのびているため、園路幅が狭くなったり、垣根(以下垣根とは、「擬竹で作った垣根」のことです。)の設置にも大変苦労したのではないかと推測しています。
それから、同窓会記念館の縁側から見える範囲の園路につきましては、インターロッキングブロックの色合いが周りの庭園と融合するように、ブロックのデザインは目立たないように一色にしてあります。
池沿いですから、支柱が腐らないようにと考えますと、ステンレスの柵がすぐに思いつくわけですが、この材質では日本庭園との融合は難しいと思っておりましたから、ここをどのようにするのか、私自身大変興味がありましたし知りたいと思っていました。
今年度の記念庭園のバリアフリー化で、塩ビパイプの支柱の周りを擬竹で覆い、細い擬竹を菱形状に組んだ垣根をつくりましたが、垣根の製作は、見た目以上に、隠れたところで細かく手を加えるところが多かったことを下記のレポートから知りました。
日本庭園とバリアフリー化とを融合させるための垣根ですが、このような柔軟な発想がどこから湧いてくるのか、羨ましい限りであり頭が下がります。
おかげ様で、高齢者や車いす利用者や子供さん等が、安心して池沿いの園路を散策できるようになったと思います。
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令和元年10月15日に、尾畑先生が、記念庭園バリアフリー化の完成後に石碑を設置したいと話しておられましたが、やっと「石碑」が届いたとのこと。本日(令和2年3月26日)、先生方にこのページへのアドバイスを頂いた後に、実習教室の外に置いてあった石碑を、板野先生が撮影してくれました。
下写真の石は、香川県高松市庵治町で産出される花崗岩(かこうがん)で、高級な墓石に使用されることもある庵治石(あじいし)であります。
”記念庭園「バリアフリー化」平成28年〜令和元年 造園デザイン科施工”の文字が彫られていました。記念庭園の入口辺りに、設置したいと話しておられました。
記念庭園バリアフリー化の石碑 |
板野先生撮影(令和2年3月26日) |
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記念碑は、台とセメントで固定されているようですが、大きな地震がおきて前に倒れてしまったならば、南北の園路だけでは逃げ場がないと澁谷先生からのアドバイスを受け、香楽園側からアクセスできる園路を追加しました。
10月下旬の第二回目の授業で、澁谷先生からアドバイスがあったわけですが、確かに、澁谷先生からのアドバイスは私も的を得ていると思いました。
しかしながら、庭園の計画後の突然のアドバイスに驚きましたし、先生方も、澁谷先生からのアドバイスをどのように受けとめたら良いのか、皆さん困惑したのではないかと想像しております。
数分後、記念碑周りを先生方が見て相談しているなと思っていましたら、次の行動としてすぐさま植栽されている木の辺りの計測を始めたことにも驚いてしまいました。予定していなかった三つ目の園路の幅が、どのくらい取れるかを確認しているのです。
校外から招いた我々のアドバイスに対して、対応が早いというのはいつものことでありますが、当初計画されていなかったことに対しても、可能ならば計画を変更して、皆さんが安全に園路をまわれるようにしたいという興陽高校の庭園デザイン科の先生方と生徒さん達に、改めて感心しております。
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香楽園の板石の通路を延長した石畳についてですが、平成26年度「香楽園(こうらくえん)」では板石の通路として説明をしています。コンクリート舗装された通路を、高齢者が移動し易いように板石の通路にしたという意識でした。
しかしながら、今年度は、平成29年度「記念庭園のバリアフリー化」P2」の庭園と「香楽園」の庭園が、記念碑周りのスロープや記念碑裏の園路でつながり一体化しましたので、ここの石畳(板石の通路)が「延段(のべだん)」の園路になったという意識に変わりました。
石畳は、道路(通路含む)や庭を舗装したものですが、平らな敷石(道路や庭などの地面に敷いた石)を敷き詰めた場所であります。
「香楽園(こうらくえん)」では、コンクリート舗装の通路を石畳(板石の通路)にしましたが、これは「京都祇園の花見小路通(はなみこうじどおり)」の石畳」と同じで、周りの景観と調和するように、移動のために石畳にしたものだと推測しておりました。
同じような石畳だったとしても、単なる移動のための道か、「庭園の要素」が強いかで、呼び方が違ってくるのではないかと思っています。
平成30年度「記念庭園のバリアフリー化P3」で、同窓会記念館の玄関前の「飛石」の園路を「延段(のべだん)」にしましたが、玄関横にテラスをつくり洋風のテーブルやイスを設置したことによって、「延段」の園路と捉えながらも「通路」表示になっているところがあります。この年度の時は、記念館に隣接する茶室にむかう際に、途中洋風のテラスが日本庭園のなかにあることに対して、私のなかで違和感があったのかもしれません。
現在は、和風・洋風どちらにしても、庭園の景観を良くするためや、移動を容易くできるような庭園のなかにある石畳であれば、「延段(のべだん)」の園路と呼べるのではないかと思っています。
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現実的に、既存の日本庭園をバリアフリー化するということは大変難しいことであります。
車いす利用者として、日常生活を送っていますと、歩道の幅が狭かったり凸凹があったり、レストランの玄関口が階段になっていたり、有名な寺社の庭園に入って行けなかったり、この社会のなかにはバリア(障壁)が多いことが認識できます。
平成19年度「見本庭園のバリアフリー化」、平成23年度「50周年記念庭園のバリアフリー化P1」、平成24年度「50周年記念庭園のバリアフリー化P2」、今年度までの記念庭園のバリアフリー化や記念碑周りの整備等、既存の庭園のバリアフリー化において、日本庭園をバリアフリー化するために、大変難しい施工のなかに多くの工夫をして来ました。
おかげ様で、高齢者・車いす利用者・子供さん等が、安全に容易く庭園内を移動できるようになりました。
なぜ、ここまで記念庭園(日本庭園)をバリアフリー化しようとするのかを先生にお尋ねしたところ、人が入って行けない殺伐とした庭園よりは、誰もが庭園に入って行けて楽しく散策できるほうが、庭園にも人にも良いのではないかと思っています。という言葉が返ってきたことがあります。
新しくつくる庭園だけでなく、既存の庭園においても、バリアフリー化及びユニバーサルデザインの庭園にしたいという先生方の高齢者や障がい者や子供さん等に対しての「思いやり」や「愛情」を感じることがあります。
そういった気持ちが生徒さん達に伝わり、作庭のなかでバリアフリー化及びユニバーサルデザインが考えられ、素晴らしい庭園がつくられて来たように思っております。
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左上写真Aは、スロープを下ったところにある広場から、池沿いの園路の様子を撮影したものです。垣根や植栽されているヒラドツツジの右側が池になっています。
以前からヒラドツツジの木と木が離れているところがあり、特に子供さんが池に転落したら大変危険であると思っておりましたので、池沿いに園路をつくってもらえるならば、池への転落防止のために竹垣などを設置してほしいとアドバイスしておりました。
池沿いの園路を車いすで走らせてみて、転落防止のための丈夫な垣根が設置されていて安心しております。池沿いということで、支柱が腐らないように塩ビパイプにクリーム色の擬竹を巻いて、日本庭園との景観にも気を遣ったようです。
決められた実習時間内だけでは、園路のインターロッキングブロック施工や垣根の作成とその設置、その他の施工地もありますので、時間の配分を考えても、それだけではすまないように想像しております。
中央上写真Bは、「50周年記念庭園」の記念碑周りの整備後の写真であります。
写真の右側から左側へぬける園路と、写真中央に記念碑に向かって行く園路が見えております。記念碑に向かって、三方向からアクセスできますが、それぞれに勾配(こうばい)がありスロープになっています。
各スロープの勾配は違い、やや急勾配のスロープがありますが、スロープの長さが短いので、右手に障がいが残っている私でも上がることが出来ました。
右上写真Cは、平成26年度「香楽園(こうらくえん)」 の園路を、校舎の出入口まで延長した「延段(のべだん)」の園路の様子です。
写真中央の左端に、少し白いコンクリートの段差が見えていますが、ここから校舎の中に入り、校舎を横断できるようになっています。
今回の延長した延段(のべだん)は、元のコンクリート舗装の通路よりも少し段差があります。ですから、写真の手前を見ますと、園路の板石とコンクリートの通路との勾配を、モルタルで処理しているのが分かると思います。
今年度は、「記念庭園」や「50周年記念庭園の記念碑周り」等のバリアフリー化でありますが、日本庭園への思いとバリアフリー化への発想の転換が、既存の日本庭園のあり方を、はるかに超越しているように感じてしまいます。
「記念庭園」では、丸太を三段に重ねにしたキャスター止めや、擬竹を使用した丈夫な垣根のアイデアによって、「50周年記念庭園の記念碑周り」では、記念碑が倒れても逃げ場が確保できるように園路を追加したりと、高齢者や車いす利用者や子供さん等が、庭園内を安全に広範囲に移動できるようになったと思います。
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どうぞ、お時間がありましたら、平成28年度の「記念庭園のバリアフリー化P1」のスロープから、平成29年度の「記念庭園のバリアフリー化P2」のあずまやで休憩して、平成30年度の「記念庭園のバリアフリー化P3」の二つのスロープからの眺望も楽しみながら、今年度の記念庭園のバリアフリー化P4で、記念館の縁側が庭園の方から見える位置まで、園路を進めてみてください。
記念館の縁側から見える雪見灯籠がある辺りまで車いすでも行けるようになりました。
入口から園路を進めて行くほどに、高齢者や車いす利用者や子供さん等が、記念庭園の景観を様々な角度から楽しむことができるようになったと思います。
日本庭園とバリアフリー化とが融合した景観の雰囲気を味わってもらいたいと思っています。
案内板が設置された10のバリアフリー庭園、「50周年記念庭園のバリアフリー化P1」及び「50周年記念庭園のバリアフリー化P2」と「香楽園(こうらくえん)」を今年度「記念碑」周りの整備で園路を繋げ一体化させました。
それから、「クジラの庭」の奥にあります「LINK〜時を刻む〜」、体育館前にあります「鳥達の集う滝」などで、ゆっくりと歩みを進めて気持ちをリフレッシュさせていただきたいと思っております。
このページで、生徒さん達の技術力と熱い思いと感性を作庭の過程で知っていただけたら幸いであります。
毎年度ながら、庭園の設計・施工の実習授業で、これほど素晴らしい庭園をつくりあげてしまう生徒さん達を指導する興陽高校の先生方の奥深い考え(生徒さん達の自由な発想の重視と新しい日本庭園のあり方など)や指導力や技術力の高さにあらためて感服致しております。
現在のバリアフリーやユニバーサルデザインを重視しつつある社会で、いかに日本庭園のなかでそれらを融合させるか、あらたな取り組みを授業のなかに取り入れていると感じております。
※施工の過程については、ページの一番下からみてください。
◇岡山県立興陽高等学校
住 所 : 岡山県岡山市南区藤田1500
電 話 : 086-296-2268(代表)
URL : http://www.koyohigh.okayama-c.ed.jp/
「造園デザイン科 第3学年 庭園施工管理類型 22名(女子生徒 10名)」
(造園デザイン科 科長 尾畑篤司先生、藤本泰史先生、板野阿貴子先生、田中賢造先生、太田貴久先生、スペシャリスト:佐伯義也先生)
内閣府特命担当大臣表彰優良賞受賞(平成19年度バリアフリー化推進功労者表彰)
◇山陽学園大学
住 所 : 岡山市中区平井一丁目−14−1
電 話 : 086-272-6254(代表)
FAX : 086-273-3226
URL : http://www.sguc.ac.jp/
地域マネジメント学部 地域マネジメント学科
澁谷俊彦教授 (岡山県環境審議会景観部会長、倉敷市伝統的建造物群等保存審議会会長)
D、スロープ下の垣根 | E、中央スロープ下の杭 | F、垣根と関守竹 | G、記念碑前の敷石 |
2月4日(月)に、今年度施工の記念庭園のバリアフリー化P4の施工が終了しましたと、尾畑先生から連絡がありました。
2月は、来年度入学する生徒さん達の入学試験やその他の準備に日程が計画されていて、日程がつまっているということでした。
ですから、早目の日程の方が良いということでしたので、今年度施工の記念庭園バリアフリー化P4の状況を、本日(2月5日)観に来ました。
左上写真Dは、昨年度作庭したスロープ下の広場でありますが、園路沿いに丸太を三段重ねてキャスター止めにしているのが分かると思います。
左側には、池への転落防止策として、垣根を追加して設置されていました。垣根の右側に、「蛙二匹(のイラスト)と立入禁止(たちいりきんし)・危険(きけん)だよ!(の文字)」の立札がありました。
右側は、植栽の剪定作業などのために、生徒さん達が出入りしやすいようにこのままの状態にしておくということでしたが、1月10日に観に来た時より垣根が増えていて、作業の出入口が狭くなっていました。
垣根の追加と立札によって、より安全に考慮したものになっていると思っております。
中央上写真Eは、中央スロープ下の池沿いの園路に、ヒラドツツジが植栽されていますが、枝の少ないところがありましたので、直径6cm、長さ約95cm(地上に出ている杭部分)の杭(ポリプロピレン製)が数本設置されていました。
中央上写真Fは、同窓会記念館の縁側からインターロッキングブロックの模様が見えると思い、池沿いの園路のブロックとは違った色合いやデザインにし気を遣ったのですが、垣根を設置したことによってブロックの模様は見えにくくなったと想像しています。
ここを散策した時には、ブロックの色合いやデザインの違いは、生徒さん達の気遣いだと思ってください。
それから、写真中央の床に竹が置いてありますが、これは「関守竹(せきもりちく)」であります。庭園で用いられているところの結界を意味するもので、ここから先への「立ち入りをご遠慮ください」という意味であります。
右上写真Gは、記念碑の前にある敷石ですが、写真のように二段になっています。敷石(角棒石)が傾いていましたので、整備するために三又(さんまた)とチェーンブロックで約1ケ月ほどかかったということであります。
先ずワイヤーを通すために、敷石の周りの土を掘り起こすところからでありますから、敷石を動かし固定するためだけに大変な労力と時間を費やしたようです。
何でもない風景のなかに、生徒さん達の苦労が詰まっていることを想像してしまいます。
左下写真Hは、校舎側からのスロープであります。写真Mの記念碑前園路の平面図によりますと、勾配は1/15ということで、ゆるやかなスロープになっていました。立札に高さ約20cmの表示がありました。
中央下写真Iは、50周年記念庭園側からのスロープであります。写真Mの記念碑前園路の平面図によりますと、勾配は1/18ということで、ゆるやかなスロープになっていました。立札に高さ約16cmの表示がありました。
それから、写真Mの記念碑前園路の平面図によりますと、香楽園側からのスロープの勾配は1/11で、高さは約15cmということです。こちらは、やや急勾配ですが、1.68mと短い距離なので上がることが出来ました。
中央下写真Jは、記念碑の裏にある園路ですが、インターロッキングブロック施工をして「50周年記念庭園」と校舎側の「香楽園」の園路とを南北に行き来できるようになりました。
フラットに近い勾配ですので、容易く移動できると思います。
右下写真Kは、香楽園の園路を延長しましたが、既存の側溝の高さよりも整備された園路の側溝の方が高くなっていることが分かると思います。
記念庭園のバリアフリー化P4、記念碑周りの整備や香楽園の「延段」の園路を延長したことによって、高齢者や車いす利用者や子供さん等が、様々な角度からの景色を見渡しながら園路を容易く移動できるようになったと感じております。
H、校舎側からの園路 | I、50周年記念庭園からの園路 | J、記念碑裏の園路 | K、側溝の整備 |
L、造園工学類型の生徒さん達が作成した同窓会記念庭園の平面図 |
今年度第三回目の授業(令和2年1月20日)で、上写真Lの同窓会記念庭園の平面図、下写真Mの記念碑前園路の平面図、そして生徒さん達が質問に答えてくださったレポートなどを受け取る予定だったのですが、私が授業に出席出来ませんでしたので、当日受け取ることは出来ませんでした。
2月5日に完成した各施工地の写真を撮影するとともに、板野先生から各平面図やレポートなどを受け取りました。
ですから、ここでの日付は受け取る予定になっていた1月20日となっております。
下写真Mは、記念碑前園路の平面図です。こちらは、造園施工管理類型の生徒さん達が作成してくれた平面図 ですが、用紙で頂いた平面図をデジカメで撮影したものです。
高さが約15cmと低いですので、「1:11」勾配のスロープと表示がありますが、それほど急勾配であると感じませんでした。
記念碑前にある三方向のスロープ勾配の表示のなかで、「15:1」は、「1:15」だと思います。
下記は、今年度の生徒さん達が、私の質問に答えてくださり、設計や施工の内容や気持ちについて詳細に教えて下さりました。
私は、今年度の第三回目の授業に出席出来ませんでしたので、個々の施工について、改めて難しかった点や工夫した点が分かったような気がします。
(令和 2年 1月 20日 現在)
◇設計責任代表者(記念庭園 : 尾越友哉 ) | ◇施工責任代表者(記念庭園 : 中山翔太 ) |
◇設計責任代表者(記念碑周り : 安田吏里 ) | ◇施工責任代表者(記念碑周り : 植松光心 ) |
今年度の生徒さん達はどのような思いで、記念庭園のバリアフ リー化P4と記念碑周辺の作庭を計画されたのでしょうか。 設計に関する考えを記入してください。 @記念庭園のバリアフリー化P4として、日本庭園と融合させ るために、どのような庭園を計画しましたか。それぞれ詳細に 記述してください。 〇ブロックの色合い: ・茶・紫の交互。「シマシマ」が茶室から見えたら違和感があるの で、手前は一色にする 〇垣根の色(擬竹や紐についても): ・擬竹はクリーム色、紐は黒・紺色 〇記念庭園とバリアフリー化との融合について: ・インターロッキングブロックの色合い。 ・転落防止用の杭を植えたことによって洋と和の違和感をなくす A誰のために、記念庭園をバリアフリー化しようとしましたか。 池沿いの園路からの転落防止の安全は確保されたでしょうか。 それぞれ詳細に記述してください。 ○誰のためにバリアフリー化?: ・どんな人でも庭園を見てまわれるように。(小さい子供、身体の 不自由な人、妊婦の人等) ○転落防止の安全について(危険と思ったヶ所とともに説明): ・池の周り、落ちたら戻ってこれないかもしれないから。 ・あずまやから池にかけてのなだらかなスロープ ・車いすやベビーカーがころがってしまうかもしれないから B記念碑前に園路を作庭したのはなぜですか。また、10月に は予定していなかった記念碑の前に、園路を追加して作った 理由を書いてください。 ・誰でも記念碑を見られるように、バリアフリー化をしました ・その中でも車いすの方にも見ていただけるように、インターロッ キングブロックで段差をなくし、通りやすくしました 〇10月には予定していなかった園路を追加して作った理由 ・途中経過を見て頂いた際に、アドバイスを頂き石碑が倒れた 場合を考え、園路を追加しました。 ・また、石碑が大きいので圧迫感があるので、遠い所から園路を 見られるようにしました ・また、追加した園路の勾配が思うようにとれなかったので、 それぞれの園路の勾配を表示することにしました。 C香楽園の園路を延長したのはなぜですか。板石の色合いや 配置、バリアフリー化するために板石表面の処理等について詳 細に記述してください。 ・今まで先輩がしてきた園路が途中だったので、それの延長を 作りました ・先輩がしてきた園路を参考にし、違和感のないように考え、石材 を選び施工しました。 〇園路の表面の処理の仕方 ・雨が降った時にとてもすべりやすくなるので、転倒防止のために、 アスチレンガスというものを使って、バーナーで板石の表面を砕き 凹凸を作ることによって、転倒を防止することができます D記念庭園や記念碑周辺の施工地と垣根製作の場所等、作業 する場所が離れていますが、すべての作業内容を共有するため に、どのような工夫をしましたか。 ・作業日誌を使って、毎回の実習で1人その日の実習内容をまと める人を作りました。 ・1人1人毎回の実習でまわれるようにし、そうすることによって、 お互いの実習内容を共有できるようにしました。 E今年度の生徒さんらしさを出したヶ所がありましたら記入してく ださい。小さなことでもいいですから、庭園やその他で何か思い 入れがあればを書いてください。 また、庭園全体の平面図又は平面のイラストがありましたら添付 してください。 ・今回のこの機会で、今まで自分たちがしてきたことを全体で見返 すことができました。 ・ラブラブの庭(ハートマークがある50周年記念庭園バリアフリー化 P2)とつながっていなかったので、インターロッキングブロックを使っ て傾斜を作り、通行できるようにしました。 ・また、そこに園路を作ることによって、石碑の裏も見られるように しました。 |
今年度の生徒さん達はどのような思いで、記念庭園バリアフリー化P4と記念碑 周辺の施工をされたのでしょうか。施工に関して難しかった点や工夫した点を教え てください。 @記念庭園の垣根について、詳細に教えてください。 製作場所:造園実習室、 設置:記念庭園、 製作人数:10人 全体の製作日数:令和元年 6月 7日〜令和2年 1月 全体の数:( 22 ) 一つの垣根に要した製作時間:大( 6時間 ) 小( 4時間 ) ○各サイズを詳細に教えてください。 垣根全体のサイズ大:幅( 2m ) 奥行き( 13.5cm ) 高さ( 150cm ) 垣根全体のサイズ小:幅( 1m ) 奥行き( 13.5cm ) 高さ( 150cm ) 支柱のパイプ:直径( 9cm )長さ( 150cm )地下に埋まる長さ(28cm〜45cm) 横のパイプ:直径( 7cm ) 長さ:大( 190cm ) 小( 90cm ) 擬竹について:直径( 22mm ) 長さ(支柱部)( 130cm ) 垣根内のサイズ:幅大(173cm )幅小( 63cm )奥行き( 4.4cm )高さ(120.5cm) ○垣根をどのように作りましたか。詳細に順序と作り方を説明してください。 擬竹を入れるように塩ビパイプを溝に切り抜いた⇒ ⇒支柱になる太いパイプに横になる細いパイプを通し四角形に組んだ ⇒バラバラにならないように四隅に針金を通した ⇒溝に切ったパイプに擬竹を差し込み格子状に組んだ ⇒格子の交点は鋼線をハッカーで締め、それを隠すようにシュロ縄(ポリプロピレン製) で結んだ(イボ結び) ⇒支柱と横に差し込んだパイプに擬竹を巻いてロープで絞り、針金でとめて、シュロ 縄でそれを隠すように結んだ ○垣根の製作で難しかった点や工夫した点: ・格子を組んでいくときに始めは、擬竹が少ないので印の所にうまく固定できず、それ がずれると全てずれてしまうので気をつけた ・シュロ縄をきつく結ぶのが難しかった ・シュロ縄の結び方を覚えるのが難しかった ○設置で難しかった点や工夫した点: ・設置する際に石や木の根があって取り除くのが大変だった ・垣根の高さを揃えたり、垂直に設置するのが難しかった ・転落防止の丸太をおさえるための土留めをした A記念碑前の園路の長さと勾配について 園路南北の長さと勾配:長さ(北側 292cm、南側 301cm)勾配(北側 1:18、南側 1:15 ) 園路西の長さと勾配:長さ(西側 168cm ) 勾配(西 1:11 ) 園路幅:(狭いヶ所 90cm 〜 広いヶ所 131cm ) 石積みについて:石の種類( 御影(みかげ)石) 高さ(高い所 55cm、低い所 20cm ) ブロックについて:色あい(紫と黄土色 )、園路のデザイン( ボーダー ) ○施工の順序を記述してください。 @石碑前の段石を移動⇒A青石・れきの撤去⇒Bサツキツツジを一部撤去⇒ ⇒C石積みの作成⇒D2回目の講習会⇒E西側に園路追加⇒F石積み完成 ⇒G勾配を計測⇒Hインターロッキングブロック設置⇒Iブロックの設置完成 ○施工で難しかった点や工夫した点: ・ブロックの設置も水平に設置するのが難しかったのですが、一番難しかった 作業は石積みです。 ・難しかった点はくずれないように、強度のある積み方をすること、天端の高さ をあわせて見栄えもよくすることが難しかったです。 ・工夫した点は、積んでいく際に石に突起があると邪魔になるので、コヤスケ(石材 を割る道具)と石頭(ハンマー)を使って突起を工夫して調整しました。 B香楽園の園路から延長した園路について:園路幅(約200cm ) 長さ( 970cm ) デザインと板石の色合い:( 赤・オレンジ・青 ) 板石の表面仕上げについて:(アスチレンガスでバーナーで板石の表面をはじいて 滑り止め効果を出す ) ・板石のサイズ:長方形( 30cm×60cm )正方形( 15cm×15cm ) ○設置の方法(下地から)と施工で難しかった点や工夫した点: 1)コンクリートをはがす(ハンマードリルでコンクリートをはがす際跳ね返ってくる のが痛かった)⇒2)ローラーで砂をまきながら固める(1tのローラーを操作する のが難しかった)⇒3)長さと施工の高さを決めるために木材を設置⇒4)セメント と砂を混ぜてモルタルを作った(セメントと砂の割合は2:1)⇒5)板石を貼る作業 (1、3cmの隙間を板石と板石の間に作り並べていく。→2、板石の下にモルタル がまっすぐになるようにこうがい板(地均しや延段施工の作業に使う台形の板)を 使って均す。→3、モルタルを慣らせたら板石同士に高低差がでないように水糸 や水平器を使って高さを調整していく。→4、高さが合ったら板石の下にセメント ペーストをひく。→5、セメントペーストをひいたらもう一度高さの微調整をして完成!) ⇒6)端の板石を電動ノコギリで切る(何十枚も切ったので耳が「キーン」となりました。 ⇒7)板石の表面をはじく(アスチレンガスというバーナーを使って板石の表面の光沢 をはじく)⇒8)目地を入れる(砂とセメントを1:2の割合で混ぜ、水を入れ練る。これ を生クリームをしぼるものに入れて、目地に入れていく。 C全体を通して、景観で工夫した点や、作庭過程で難しかったところや工夫した点 を書いてください。特別に、印象に残っている施工・その他も記述してください。 〇園路側の施工では、板石を据えていく作業が大変でした。 ・1枚1枚丁寧に板石を並べていき、その中で高さを見ながらしていく作業は難し かったです。ですが、作業を通していくうちに作業スピードが上がり、スムーズに 作業することができました。 ・板石の表面をはじく作業では、高温で板石の表面を砕くため、散ってくる石一つ 一つが熱をもっていてとても熱かったです。 ・危険なので、耐熱性のマスクをかぶり、作業を行ったのはとても印象に残ってい ます。 |
※B香楽園の園路から延長した園路の施工について:コンクリート舗装された通路を、移動式クレーンのトラックにコンプレッサーとハンマードリル(はつり工具)を載せ、施工場所でコンプレッサーとハンマードリルをホースで繋げて、ハンマードリルでコンクリートを粉砕したようです。
〇コンプレッサー:空気の圧力を利用して、動力源とする工作機械を使用するための装置。
〇ハンマードリル:コンクリート通路を粉砕するための「はつり工具」として使用しています。工具は数キロですが、持って力を入れ続けるとなると、大変疲れたようです。
M、記念碑前園路の平面図 |
今年度の第三回目の授業(1月20日)に出席出来ませんでしたが、澁谷先生が授業のなかで、各施工地をまわった後、3年生の教室で黒板を使って、私へのメッセージを生徒さん達が残してくれました。
施工の感想やUDについて気を付いた点などを書いてくれて、それを尾畑先生が、黒板をデジカメで撮影しメールで送ってくれました。
この造園デザイン科の授業で、私が、特に好きなところが二つあります。
第一に、土や植物や石の質感等にふれ自然に関わるということで、人の感性を豊かにしてくれると思っています。自然のものに対して、自分達の思うようにいかないところも良い体験になったのではないかと思っています。
第二に、庭園を利用する人のために、バリアフリーやUDを考えるというところから、高齢者や障がい者だけでなく、相手の気持ちを考えられるようになるというところであります。
この二つは、人が生きていく上での基本であるとともに、社会生活で大変大切なことであると思っております。
下記に、作業のなかで難しかった点や工夫したところ、そして庭園施工のなかでユニバーサルデザインについて考えたことを書いてくれました。感謝。
それぞれの思いを書いてくれましたが、今年度の庭園施工での作業が良い「思い出」となり、沢山の「思いやり」を持った人に成長してくれることを願っております。
〇記念碑周り ・三又が重い!!by もんた+安全第一 ・崩れにくく、見栄えの良い野面積み。U.K ・コンプレッサーが重すぎて筋肉痛になった。by K.A ・石積みの石選び。いたち ・石を選ぶのが大変だった。K.T ・板石の段差。K.K ・冬寒すぎた。A.R ・勾配が急にならないようにした。T.S 〇記念庭園 ・シュロ縄をキツく結ぶのを気を付けた。T.A ・転落防止の竹垣がきれいにできた。H.S ・杭を打つ時に根や石をとるのが大変だった。O.T |
〇UD(ユニバーサルデザイン)について ・UD利用する人のことを考える。K.K ・UD誰にでも優しい。F.S ・UD誰でも使える。H.Y ・UD1度見ただけで利用方法がわかる。R.Y ・UD段差をなくす。O.M ・UD車いすの人が通りやすい道づくり。hiii ・UD安全につかえる。M.S ・UD安全になるように気をつけた。F.Y |
N、香楽園からの園路 | O、50周年記念庭園側入口 | P、板石の園路 | Q、記念碑の後側園路 |
本日は、尾畑先生と板野先生と一緒に施工地を見てまわり、設計と施工の質問用紙を、板野先生に渡しました。
左上写真Nは、香楽園からの園路ですが、園路の両側端と石積みとの納まりも出来上がっているようでした。記念碑前の大きな石段は傾いていたので、三又とチェーンブロックで大きな敷石を動かし整備したようですが、車いすで近づいて文字を確認できるようになりました。
二回目の授業において、澁谷先生の提案で、香楽園側からの園路が追加されたわけですが、造園デザイン科の生徒さん達と先生方との対応力が大変素晴らしいと感じております。
中央上写真Oは、50周年記念庭園側からの入口ですが、こちらも園路の両側端と石積みとの納まりが出来上がっているようでした。三方向の園路が綺麗に仕上がっているのが確認できました。
中央上写真Pは、目地を埋めるのに時間がかかり、5時間かけてやっと半分のところまで来ましたと、尾畑先生が話してくれました。写真(園路)半分より上の目地の色が違うのが分かると思います。
右上写真Qは、記念碑の裏手にもインターロッキングブロック舗装された園路が出来ていました。この園路によって、香楽園側(南)と50周年記念庭園側(北)、南北に車いす利用者が容易に行き来できるようになりました。
左下写真Rは、記念庭園の中央のスロープからの景観ですが、転落防止のための垣根が設置されているのが分かると思います。
それから、植栽されたヒラドツツジの枝の隙間が気になるので、数本の杭を立てることを提案しました。
中央下写真Sは、校門側のスロープとスロープ下の広場ですが、写真中央に転落防止のための垣根が設置されていました。この転落防止の垣根の右にもう一つ垣根を設置するということです。
右下写真Tは、写真Sの垣根の辺りを拡大したものですが、池が見えておりますので、転落防止の垣根とともにその他で安全を確保してもらいたいと思っております。
例えば、丸太を重ねたキャスター止めを超えたとしても、池に転落しないような工夫をしておくとかです。
転落防止のための垣根の製作について、擬竹の長さと価格やら、枠内の菱形を模った擬竹はシュロ縄(ポリプロピレン製)でくくる前に細い針金でくくっていること等、製作の内容を話してくれました。
R、中央のスロープからの景観 | S、スロープ下左側に垣根設置 | T、スロープ下を拡大 |
U、香楽園からの園路 | V、50周年記念庭園側入口 | W、校舎側からの入口 | X、板石の園路 |
1月4日ですから、松の内(正月の松飾りのある間)になりますが、生徒さん達に設計と施工のレポートを書いてもらうために、その項目の内容を作るためにも、現在の状況を知らなければならないと思い、記念庭園のバリアフリー化P4と記念碑周りの写真撮影に来ました。
玄関前の駐車場で、尾畑先生と会って新年の挨拶をしました。
左上写真Uは、10月の第二回目の授業で、澁谷先生から提案がありましたが、記念碑前に南北の園路とは別に香楽園の方からの園路ができつつあるようです。両側に石積みと、床はインターロッキングブロックになっていました。
中央上写真Vは、南北の園路で、「50周年記念庭園」からの入口であります。大半のブロックが敷き詰められていました。後は、石積みと園路の端の隙間との納まりで、形を合わせたブロックを作らなければならないようです。
中央上写真Wは、南北の園路で、校舎側からの入口であります。こちらも、大半のブロックが敷き詰められていましたが、石積みと園路の端の隙間との納まりで、ブロックの形を合わて施工するのみとなっているようです。
右上写真Xは、香楽園からの園路を延長したものですが、この日は側溝の上にグレーチングが設置されていました。板石の表面は光沢があったものを、バーナーの火で飛ばし滑りにくくなっていました。
左下写真Yは、池沿いの園路です。植栽されているヒラドツツジの木と木の間に垣根を設置するのですが、基礎をつくるために土を掘って、写真のように園路に土が置かれていました。
車いすでは、これ以上先には行けませんでした。
中央下写真Zは、池とキャスター止めの間に垣根を設置するために、まず穴を掘って土台の基礎を作っているところです。
右下写真AAは、「あづまや」の壁に立て掛けてあった転落防止のための垣根の全体像ですが、下部のグレイの部分が土のなかに埋まって固定されるところだと思います。両側の支柱と上部は、細い擬竹で覆っています。枠内は細い擬竹を菱形模様にしております。
記念碑周りや記念庭園のバリアフリー化P4、それぞれの施工地で、かたちになって来たように感じております。
Y、園路に土 | Z、土台作り | AA、擬竹で作った垣根 |
BB、測量 | CC、スロープ下の作業用出入口 | DD、板石の施工 | EE、校舎側から撮影 |
本日は、第二回目の授業参加でありますが、 前半は造園デザイン科 第3学年 庭園施工管理類型の生徒さん達と、家政科 弟3学年 人間科学類型の生徒さん達との合同授業であります。
◎前半は、住環境について下記の項目について話しました。
1、現状と住環境整備の必要性
2、個別の改修の考え方
(1)スロープの勾配について
(2)手すりについて
1)手すりの口径
2)材質
3)取付の位置
4)荷重に耐えられる下地が必要
(3)車いすの有効幅員について
1)直線の通路幅
2)住宅内:廊下と入口の有効幅員の関係
3)車いす操作の能力には個人差がある
4)暮らしていてストレスを感じないサイズ
※実際の住宅改修での重要なポイント
○当事者の身体能力を把握する
○建物の現況を知る
○他職種との連携:医療従事者と建築関係その他
3、車いす操作の仕方(車いす利用者への介助)について
◎後半は、:造園デザイン科 第3学年 庭園施工管理類型の生徒さん達と記念庭園と記念碑周りの施工の状況を見ました。
〇記念庭園にて(北側スロープ下の広場にて施工の感想を話しました)
左上写真BBは、造園デザイン科の造園工学類型の生徒さん達が測量をしているところです。
中央上写真CCは、北側のスロープの下は、丸太を三段重ねにして、車いすのキャスター止めになっております。枝の剪定等の作業用の出入口として、このままの状態にしたいと先生からお聞きしました。
しかしながら、スロープの上からスロープ下のキャスター止めに勢いよく車いすがぶつかってしまうと、車いすに乗っている人が車いす止めの丸太を飛び越えてしまうと大変危険であります。
ですから、作業用の通路は最小限に狭くして、池への転落防止に備えてくださいとアドバイスしました。
また、大きな池の底にはスイレンの根が張り巡らされているらしく、その上に泥と水があるようです。10月15日に計測した約140cmというのは、スイレンの根までだと推測しています。
転落防止のための垣根の骨格を見せてくれましたが、6月14日に見せてくれましたように、枠の支柱はグレイの塩ビパイプで、内側はクリーム色の擬竹を菱形にしたものでした。
○記念碑前で校舎側にて(板石の施工と、記念碑前の園路について施工の感想を話しました)
中央上写真DD、香楽園(こうらくえん)の板石を延長させて、今年度は校舎の出入口まで延ばそうとしていますが、板石のデザインが少しづつ変化してきていように見えます。
右上写真EEは、記念碑前で校舎側から撮影した園路になるところですが、両側に石積みがされていました。
左下写真FFで、阪神大震災の時、岡山でもその地震の影響で家屋が揺れましたが、ここの記念碑は大丈夫だったようです。
しかしながら、南北の園路だけでは、もしも記念碑が倒れて来た場合に、園路からの逃げ場がないから危険であると澁谷先生からの指摘がありました。
中央下写真GGは、記念碑の前で、向かって右から澁谷先生が田中先生や太田先生に、記念碑が倒れてくるかもしれないということで、別ルートの園路を作庭することは可能かどうかなどを話し合っているところです。
中央下写真HHは、向かって右から太田先生、田中先生、佐伯先生ですが、植栽された木々を取り除いて園路を作ろうかと相談しているところだと思います。
右下写真IIは、手前は田中先生ですが、その後ろにいる太田先生が巻き尺をのばし田中先生が指差して幅がどれぐらいとれるかどうかを確認しているところです。後ろに立って、二人の様子を見て幅を確認しているのは佐伯先生です。
それにしても、授業中に突然、澁谷先生の記念碑が倒れてくるかもしれないから危険であるという発言に、先生方が即座に別ルートの園路を作ることを決めるとは、対応の素早さに驚いてしまいました。
次回の第三回目の授業までに、新しく作ろうとしている園路がどのようになっているのか大変楽しみであります。
FF、記念碑 | GG、澁谷先生の提案 | HH、先生方検討中 | II、計測中 |
JJ、石橋の上から池の深さ | KK、校門側の池の深さ | LL、ブロックの色合い | MM、灯籠前の隙間 |
本日は、第二回目の授業参加の前に、記念庭園と記念碑周りの下見に来ました。
記念庭園バリアフリー化P4は、尾畑篤司先生と板野阿貴子先生そして太田貴久先生が応対してくれました。
◎記念庭園について
今年度は、池沿いの園路を完成させるというところまで来ましたので、もし池へ転落したらどうなるか危険への認識を高めてもらいたいと思っていました。
太田先生が、長い竹にて池の深さを測ってくださいました。
左上写真JJは、記念館の西側にあります池の石橋の上から、太田先生が長い竹を池に刺して深さを測っているところであります。現在は、水が引いていましたが、泥沼に刺さった竹の部分は約140cmでありました。
中央上写真KKは、記念館とは反対の校門側(北側)の池の深さを、太田先生が長い竹を池に刺して深さを測っているところであります。こちらも、泥沼に刺さった竹の部分は約140cmでありました。
おおよそ小学校低学年の子供さんなら、足から頭までの身長が隠れてしまう深さであります。
中央上写真LLは、記念館の縁側から見ることのできるインターロッキングブロックの園路でありますが、日本庭園の雰囲気を壊さないように、ブロックは渋めの土色の色合いになっていました。
ここの広場のスペースサイズは、東西3.5m、南北2.5mでありました。車いすがすれ違うことができるスペースの広場だと思います。
右上写真MMは、記念館の縁側から見ることのできるスペースから、飛石への園路でありますが、丸太を重ねた車止めがありません。ここで庭園見学の一般の人は引き返すことになります。
ですから、ここに通行止めの垣根か何か作りたいと先生から説明がありました。
左下写真NNは、今年度作庭の池沿いの園路ですが、園路幅を板野先生と太田先生が測ってくれているところであります。広い所で、205cm、狭い所で、1mでありました。広くならない理由としては、木の根や石等があるからということです。
それから、池沿いのキャスター止めの材質は木製で、丸太を三段に重ねております。高さは約20cmでありました。ブロック施工については、今週終了の予定とか聞きました。
◎記念碑周りについて
尾畑先生と板野先生そして太田先生(造園デザイン科 造園施工管理類型)、佐藤先生(造園デザイン科 造園工学類型)が応対してくれました。
記念碑周りを整備しようと思った理由としては、当時、50周年記念庭園を作庭した卒業生も高齢者となりましたので、段差をなくしバリアフリーにして記念碑をより近くで見られるように整備したいということです。
中央下写真OOは、記念碑前で校舎側に入口が見えております。 両脇に石積みをして園路になるであろう幅が見えております。石積みは、春の石積み講習会で使用した御影石の「大窪(おおくぼ)石」を使用しています。
中央下写真PPは、50周年記念庭園側から記念碑周りを撮影しました。園路のかたちをこれから作って行くように感じました。
右下写真QQは、香楽園(こうらくえん)の板石を延長させて、今年度は校舎の出入口まで延ばそうとしています。今年度作庭の半分ぐらいまで板石が置いてありました。グレーチングの設置もこれからのようでした。
最後に、記念庭園バリアフリー化P4の集大成で、記念庭園のバリアフリー化完成後の石碑を作りたいと話しておられました。
家政科と造園デザイン科との合同授業の項目用紙(1枚)と、車いす介助の仕方の用紙(5枚)を板野先生にわたしました。
NN、園路を計測中 | OO、校舎側から園路を撮影 | PP、記念庭園側から園路を撮影 | QQ、板石の施工 |
RR、池沿いの園路 | SS、池沿いの園路と垣根 | TT、田中先生と垣根の拡大 |
本日は、今年度の造園デザイン科の第一回目の授業参加であります。今年度も昨年度に引き続き「記念庭園のバリアフリー化」であります。
日本庭園内で、車いす利用者がいつでも容易く移動できる時ばかりではないというのが現状でありますから、記念庭園のバリアフリー化は「車いす利用者」にとっては大変有難いことであります。
この記念庭園(日本庭園)をバリアフリー化するために、すでに3年の年月をついやしております。
一年目、平成28年度「記念庭園のバリアフリー化パート1」で、人が容易に入って行くことができない雑木林のような所でしたが、高台にある「あずまや」までスロープの園路を作庭しました。
二年目、平成29年度「記念庭園のバリアフリー化パート2」で、「あずまや」の床(三和土)の整備と、「あずまや」西側の園路幅を広げ、庭園中央に新しくつくった広場まで園路をのばしました。
三年目、平成30年度「記念庭園のバリアフリー化パート3」で、パート2でつくった庭園中央の広場から二つのスロープを設置し、池沿いの園路の基礎をつくりました。同窓会記念館のなかに入り、縁側から仕上がっていく園路の様子を見ることができました。
今年度は、記念庭園のバリアフリー化パート4として、記念庭園バリアフリー化の総まとめであり、日本庭園とバリアフリー化との融合の集大成ということになろうかと思っています。
昨年度施工した場所は、記念館の縁側から直接ブロックは見えていませんでしたが、今年度「記念庭園のバリアフリー化パート4では、記念館の縁側から園路の見える部分がありますから、ブロックの色合いを考えなければならないと思っています。
それから、池への転落防止策をどのようにするのか、記念庭園全体の「和の心」と「バリアフリー化」とが融合するような方法を考えなければならないと思っております。
左上写真RRは、池沿いの園路で、ヒラドツツジの剪定後の枝が取り除かれていました。現在、池沿いの園路で、車いすの前輪止めとして丸太が二段重ねになっているところがありました。
中央上写真SSは、今年度設置予定の転落防止策としての垣根の見本(骨格のみ)であります。ヒラドツツジと丸太のキャスター止めの間に設置するようです。
右上写真TTは、田中先生と今年度設置予定の垣根を拡大したものです。内側は擬竹で菱形に組んだもので、グレイ色の塩ビパイプの枠は「擬竹」で覆ってしまうと聞きました。
この垣根を大小合わせて13枚程度設置する予定だと聞きました。塩ビパイプの枠を「擬竹」で覆う作業は室内で作業し、出来上がった垣根を、こちらの庭園で設置するように田中先生から聞きました。
記念庭園でのアドバイスとして、現在、丸太が二段重ねになっているところがありますが、ベビーカー前輪の直径が大きいもので22cmありますので、丸太を三段重ねにしてほしいということと、池への転落防止策のために垣根の設置とともに「注意喚起の看板」がほしいなどのアドバイスをしました。
左下写真UUは、香楽園側(校舎側)からの「記念碑」周りの様子です。カラーコーンの辺りから園路の入口となるようですが、まだまだ園路のかたちが見えていないのが現況です。
中央下写真VVは、「50周年記念庭園のバリアフリー化パート2」側に隣接する「記念碑」へのスロープ作成予定地であります。前回、訪問した時よりも、園路の形が見えてきたように感じています。
右下写真WWの下部は、香楽園(こうらくえん)の板石の園路であります。表面がツルツルで光沢があった御影石の板石を、安全のためにバーナーの火で表面を飛ばしザラザラにし滑りにくくしています。
今年度は、校舎の出入口辺りまで、板石の園路を延長するようです。
右下写真WWで分かりますように、コンクリート舗装された通路をハンマードリルで粉砕し、土が見えるまでになっていました。
(移動式クレーンのトラックにコンプレッサーとハンマードリルを載せ、コンプレッサーとハンマードリルをホースで繋げて、ハンマードリルでコンクリートを粉砕したようです。)
第一回目の本日は、バリアフリーとUD(ユニバーサルデザイン)について、造園実習室にて説明し、過去のバリアフリー庭園の感想とバリアフリーとUDとの違いについて、見本庭園前で話しました。
最後に、昨年度作られた(バリアフリー化P2で作った)広場にて、今年度施工予定の園路を見ながら、池沿い園路の転落防止策についてとか、園路のブロックの色合いや看板について話しました。
50周年記念庭園のバリアフリー化パート3として、「記念碑」前でスロープの勾配や手すりの設置について話しました。
UU、記念碑周り(香楽園側) | VV、記念碑周り | WW、園路の延長 |
XX、盛り土 | YY、園路 | ZZ、剪定後のヒラドツツジ | AAA、光悦寺垣の見本 |
本日は、第一回目の授業参加の前に、記念庭園内の様子が、現在どのような状態になっているのかを見に来ました。
そして、今年度は、「50周年記念庭園」の記念碑により近づけるように、スロープの園路を作りたいということを、尾畑先生から聞きましたので、記念碑周りも見てきました。
造園デザイン科の尾畑篤司先生と板野阿貴子先生が応対してくれました。
尾畑先生から、今年度は「記念庭園のバリアフリー化パート4ということで、「記念庭園のバリアフリー化パート3の続きになります。
昨年度パート3では、パート2で作られた広場から2方向にスロープをつくって園路をのばし「ヤエザクラ」の木の辺りで合流するところまで、インターロッキングブロック施工をしました。今年度は、その続きで園路を整備していくということであります。
左上写真XXは、丸太を重ねてキャスター止めをつくっておりますが、より強固となるように盛り土をしていますと尾畑先生から聞きました。
中央上写真YYは、池沿いにあるヒラドツツジが剪定されていましたが、園路に剪定後の枝が散らばっておりました。
中央上写真ZZは、剪定後のヒラドツツジと丸太のキャスター止めを拡大したものですが、この間に転落防止の柵を設置するように聞きました。
右上写真AAAは、「あづまや」内に立てかけられていた「光悦寺垣」の見本であります。これを柵として使用するかどうか、これから生徒さん達と相談して決めたいということです。
記念碑周りの整備について、50周年記念庭園を作庭した先輩方も高齢者となり、より記念碑に近づけるようにスロープをつくりたい。それから、農産物の販売などを学校内で催した時に、興陽高校を卒業された先輩方や、この学校を訪問してくださった高齢者その他の人達が、元総理大臣の佐藤栄作氏が描いた記念碑の文字を見学できるように整備したいと話してくれました。
卒業生というものは、いつまでも卒業した学校が気になるものだと思います。在校生が、卒業生の気持ちを受け入れて、バリアフリー化に取り組むという姿勢が、他校の卒業生であっても嬉しいものであります。
左下写真BBBは、現在の「50周年記念庭園」の記念碑周りであります。記念碑前で校舎側からの園路ですが、カラーコーンがある辺りをスロープの入口にしたいとのことです。
中央下写真CCCは、平成24年度「50周年記念庭園のバリアフリー化パート2」側から見た「記念碑」周りの現在の状況であります。まだまだ、これから園路のかたちを作って行くところであります。
中央下写真DDDは、「記念碑」前に園路をつくろうとしていますが、土を掘り込んでいるため尾畑先生の膝下が隠れております。
右下写真EEEは、平成26年度「香楽園(こうらくえん)」の園路を、尾畑先生が立っているところまで延長して、校舎の出入口とつなげたいと話しておられました。
コンクリート舗装されていた通路をハンマードリルで粉砕しておりますが、現在はカラーコーンで囲んでおりました。
第一回目授業参加の6月14日に訪問した時に、どのくらい作業が進んでいるのか楽しみであります。
6月14日の第一回目の授業参加で、バリアフリーとユニバーサルデザインの説明ということで、岡山県作成のパンフレットがとても参考になりますので県庁で頂き、パンフレットを板野先生に渡しました。
(岡山県庁5階:保健福祉部障害福祉課にて、バリアフリーー社会のおもいやりのパンフ25部、バリアフリー社会をめざして(岡山県福祉のまちづくり条例の施設整備マニュアル)25部(コピー)、今年度改訂された「まちづくり条例整備マニュアル」の本 2冊も頂戴しました。また、8階:岡山県 県民生活部 人権施策推進課にて、おかやまユニバーサルデザインのパンフ25部を頂戴しました。)
BBB、記念碑周り(香楽園側) | CCC、記念碑周り | DDD、記念碑前の窪地 | EEE、園路の延長 |
令和 2年 3月 下旬現在
まくあいのこかげの入口 | 各庭園のイラスト |
平成26年3月31日 撮影 | 平成26年3月31日 撮影 |
※案内板は、下記説明の「山野草園」「実のなる庭の実のなる木」「四季を彩る庭」「流れのある庭」「バリアフリー展望台「友集の丘」「和楽の庭」「見本庭園のバリアフリー化」「干拓地の生き物を知る」「万葉の小径」「まくあいのこかげ」の10庭園の位置情報であります。
私はたまに京都の観光地(神社や寺)や町を散策することがありますが、古い建物とバリアフリーとの融合の難しさを感じます。ここの「バリアフリー庭園」では当初から和風テイストのうえにバリアフリーやUD(ユニバーサルデザイン)をうまく融合させているように思います。京都の観光地(神社や寺)や町とは趣が違いますが、和風テイストとともにここ独自の庭づくりに挑戦していて本当に素晴らしい庭(空間)が出来上がっていると感じております。
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バリアフリー庭園は平成13年度から作庭していますが、高齢者や車いす利用者や視覚に障がいがある方そして子供さん達などが容易に庭園内を散策できるようになっています。
このサイトでは3年目の平成15年度から庭園の紹介をしております。
平成13年度の「山野草園」では「露地門」や「灯籠」や「水琴窟」、平成14年度「実のなる庭の実のなる木」では「四つ目垣」や「スロープ」、平成15年度の「四季を彩る庭」では「木製のかけ橋」や「石積み」や「花時計」、平成16年度の「流れのある庭」では「浅瀬の細長い池と石橋」や「乱杭(木製)で車いすの前輪止め」、平成17年度の「バリアフリー展望台「友集の丘」では「らせん状の石垣」と「長いスロープ」、平成18年度の「和楽の庭」では「石の顔」にこだわり「矢掛の青御影や万成石や豊島の石」などを配置したり、パーゴラと長いすの周りに集うことがでるスペースをつくったり「盆栽」置場として整備してきました。
平成19年度の「見本庭園のバリアフリー化」では、「露地門」や「建仁寺垣」や「腰高麗袖垣」そして「山目地の工法による石畳のバリアフリー化」をし、平成20年度の「干拓地の生き物を知る」では、絶滅危惧種に指定されている魚や植物の保護のために細長い池をつくり、各庭園を石橋やインターロッキングブロック舗装で結び一つの庭として高齢者や車いす利用者や子供さん達などが容易に散策できるようにしました。
平成21年度の「万葉の小径(まんようのこみち)」では、時という壁(バリア)を超えて万葉人(まんようびと)の心に触れられるような庭園をつくりました。石の桁と板をつかった橋や転落防止の竹の柵、インターロッキングブロック舗装、縁石・乱杭・低い四つ目垣・太い竹の車止めなど、これまでの庭園施工の技術面がまとめて取り入れられています。
万葉集で詠まれた花を庭や植枡に植栽し、生徒さん達や先生方の短歌も紹介しています。
平成22年度の「まくあいのこかげ」(「幕間の木陰はひらがなで明記」)は、バリアフリー庭園をつくり始めてこの周辺の区画では10年目の最後の年で、バリアフリー庭園全体の入口となる庭園をつくることになりました。車いす利用者が使用できる洗面台や子供さんのための足洗い場や長いす、滝や大きな樹木の木陰などがあり、皆さんがくつろげる広場となっております。
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平成23年度は「50周年記念庭園のバリアフリー化」ということで、40年前に「50周年記念庭園」として先輩方が寄贈してくれた庭園を、先輩方の思いを大事にしたいと考え、噴水や樹木(ワシントンヤシ・フェニックス・ヒラドツツジ・サツキなど)を残しながら、いかに自分達らしい庭園のバリアフリー化をすることでありました。
正面入口通路の他3つの通路も通路幅を広げゆるやかな勾配のスロープになっていて、噴水周りの通路とともにインターロッキングブロックを敷き詰めています。水槽の内側にネットを張って安全性を確保する方法に大変驚きそして大変感心いたしました。大変素晴らしいアイデアだと思っています。
正面入口のアーチや屋外に常時設置の石のテーブルがあることで、癒される空間になっていますので高齢者・車いす利用者・子供さん達など皆さんがこのスペースで憩うようになると想像しております。
平成24年度は「50周年記念庭園のバリアフリー化」に隣接するスペースで、こちらも「50周年記念庭園」として先輩方が寄贈してくれた庭園でした。「50周年記念庭園のバリアフリー化パート2」として作庭しましたが、平成15年度「四季を彩る庭」にある「かけ橋」の作り直し、大きな石の上に日時計がある石碑とその周り、そして大きな日時計がある広場など、離れた三ヶ所のスペースを施工しております。
広場のインターロッキングブロック舗装にはハートマークを多用して、時には癒される空間、時にはアクティブな空間として、使用する人の気持ちしだいで様々な空間としての顔を見せてくれる楽しみな庭園であります。
平成25年度「LINK〜時を刻む〜」は、中庭にあります「80周年記念庭園(くじらの庭)」の横区画のスペースで、庭園内に農業機械科の生徒さん達が製作した「UDのテーブル&いす」を置いたり、家政科の実習授業のためにカラフルな植筒にハーブの植栽や、支柱が御影石の大小の流し台を設置したりと、造園デザイン科だけでなくそれぞれの科との「つながり」を考えて作庭した庭園であります。
クジラのいすやテーブルが置いてあるところから、周りが石積みされ中心に植栽された各樹木を見渡すことができ、春夏秋冬の時を刻むことのできるとてもゆったりした趣のある大変素晴らしい庭園になっています。 カラフルな植筒は、車いす利用者や背の低い子供さん達の目線の高さのことを考え、様々な高さにしています。
平成26年度「香楽園(こうらくえん)」は、「香り」がテーマで多くの方がこの庭園内で季節に応じた花の香りを楽しめるようになっています。大き目の「植え筒」にはメインの樹木とその周りに寄せ植えの花があり、車いすで容易に近づいて花の香りを楽しむことができます。
「50周年記念庭園のバリアフリー化パート1」と違和感なく融合して、教室の生徒さん達から見て、心が落ち着く癒される空間になっているのではないかと思っています。
「緑のカーテン」とか、排水のために庭園全体に勾配がついていたりとか、言われて気が付くような細かなところにも工夫があります。
コンクリート舗装の通路を板石の幅広い通路に変更しましたが、御影石の板石は、表面がツルツルで光沢がありましたが、安全のためにバーナーの火で表面を飛ばしザラザラになっていますので滑りにくくなっています。
平成27年度「鳥達の集う滝」と「クジラの庭のスロープ」は、80周年記念庭園の「クジラの庭」にスロープを二ヶ所つくるとともに、教室脇のコンクリートの廊下と庭の通路の段差解消ということでスロープをつくってくれました。
また、「鳥達の集う滝」は、大きな石の配置を「天」「地」「人」の基本形をもとにして「滝石組」を作りました。水が流れるように「滝石組」の石を配置し、実のなる樹木を植栽して、その実を食べに来た小鳥の囀り(さえずり)が聞けるような庭になっていて、コンパクトなサイズの庭に盛沢山の工夫が凝縮された大変素晴らしい庭が出来上がっておりました。
一日中観ていても飽きないと思わせるほど、大変素晴らしい風情がある滝石組だと感心しております。
平成28年度は、「見本庭園の東西の門」の作成、クジラの庭の頭側のスロープの改修、そして「記念庭園のバリアフリー化」パート1の三ヶ所です。第一回目の授業時には前記の二ヶ所は終了しており、三ヶ所目の「記念庭園のバリアフリー化」で、「あずまや」まで車いすで上がれるようにスロープを作ってくれました。そして、傾いた大きな石灯籠を修復しました。
スロープの勾配は、1/15以下、 入り口からの園路幅は車いすと人とがすれ違える幅になっており、途中の2ヶ所の踊り場スペースでも、車いすと車いすとがすれ違うことができるようです。転落防止の竹垣やキャスター(車いすの前輪)止めとして太い孟宗竹を設置していました。
同窓会記念館のお茶室を意識して、心を落ちつけ静かに庭のなかで楽しんでもらえるようなスロープにするために、ブロックの色合いは渋めにし「固まる土」などを採用しています。スロープの入り口から「あずまや」まで上がる過程について、皆さんが池周辺や大きな石灯籠や小さな滝などの風景が楽しめるよう、見え易くするために石を移動したり樹木の枝を切ったようです。
平成29年度は、引き続き「記念庭園のバリアフリー化」パート2ということで、「あずまや」の床(三和土)の改修と、「あずまや」西側の築山(つきやま)の土留めのために野面石積みをしました。野面石積みは、石一つ一つの顔の表情を生かしながら美しく積み上げております。それから、「しがらみ」の柵沿いの園路と広場のインターロッキングブロックは、機械を入れられず人の力だけの作業ですから、この園路のかたちをつくるまで、そして広場の盛り土をするために大変な労力がいったと想像しています。
この築山の上に小石でつくったサークルがあり、その中央に記念樹のヤエザクラの木が植栽されています。「しがらみ」の園路沿いにも2本目の記念樹が植栽されています。
インターロッキングブロック施工も大変美しい出来栄えだと思うのですが、個々の「あずまやの三和土(たたき)」・「しがらみ」・「野面石積み」・「挿し石」などの伝統的技術の質も高く大変美しいと感じさせてくれます。 園路は、「あずまや」西側の園路から広場まで、車いすで進んで行けるようになりました。
平成30年度の 昨年度は、前年度に引き続き「同窓会記念館」に隣接する「記念庭園」で、「記念庭園バリアフリー化」パート3ということですが、昨年度作庭した広場から池方向と中央方向へと二方向に園路をのばし、ヤエザクラの木の周辺で合流するまでを施工してくれました。
園路のインターロッキングブロックは、昨年度と同様に目立たない渋い色合いにしていました。二つのスロープは、車いす利用者のために勾配1/15以下になっています。池沿いの園路は、一部木の根の都合で幅1mになっていますが、おおよそゆったりとした通路幅になっておりました。車いすやベビーカーの前輪止めとして、丸太を重ねて園路やスロープからの転落防止にしています。
そして、池沿いから記念館の縁側から見える範囲の園路までの下地を整備しました。来年度、縁側から見える園路について、ブロックの色をどうするか生徒さん達と相談して決めたいと、尾畑先生が話しておられました。
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大変残念なことですが、平成22年度「まくあいのこかげ」・平成24年度「50周年記念庭園のバリアフリー化パート2」・平成25年度「LINK〜時を刻む〜」に設置されていた「休憩することができる建物」は、傷みが激しいということで現在は撤去されております。
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区画ごとにテーマは違いますが、興陽高校では各庭園を「バリアフリー庭園」と呼んでおります。では、なぜバリアフリー庭園と呼んでいるのか。それは、物理面でUDを目指した作庭というだけでなく、バリアフリーをより広くとらえて、人の心・自然保護・伝統的文化・時を超えて歴史的文学や香り等、様々なバリアに対応しながら作庭に取り組んでいますので、この学校ではUDではなくバリアフリー庭園と呼んでおります
また、造園デザイン科だけでなく農業機械科とのコラボや家政科との合同授業、そして同窓会記念庭園を測量してくれた造園工学類型の生徒さん達など、一つの学科にとどまらず他の学科や他の類型との壁を作らないということでも、ある意味でバリアフリーであると考えています。
どうぞ、「バリアフリー庭園」の個々の庭を散策して、生徒さん達の作品と「思いやり」を堪能していただきたいと思っております。
平成15年度「四季を彩る庭」 / 平成16年度「流れのある庭」 / 平成17年度の「バリアフリー展望台「友集の丘(ゆうしゅうのおか)」
平成18年度「和楽(からく)の庭」 / 平成19年度「見本庭園のバリアフリー化」 / 平成20年度「干拓地の生き物を知る」
平成21年度「万葉の小径(まんようのこみち)」 / 平成22年度「まくあいのこかげ」 / 平成23年度「50周年記念庭園のバリアフリー化」
平成24年度「50周年記念庭園のバリアフリー化パート2」 / 平成25年度「LINK〜時を刻む〜」 / 平成26年度「香楽園(こうらくえん)」
平成27年度「鳥達の集う滝」と「クジラの庭のスロープ」 / 平成28年度「記念庭園のバリアフリー化パート1」 / 平成29年度「記念庭園のバリアフリー化パート2」
平成30年度「記念庭園のバリアフリー化パート3」 / 令和元年度「記念庭園のバリアフリー化パート4」と記念碑周りの整備