A、「水辺にある茶室で和風庭園を楽しむ」 | B、「2つの顔を持つ庭」 | C、「あそびごころ!」 |
板野先生 撮影 |
造園デザイン科 庭園施工管理類型 3年 13名(令和5年度)
令和2年度から3年間、「新型コロナウイルス」流行のため授業の参加を控えておりました。
厚生労働省が、令和5年5月8日から新型コロナウイルス感染症の位置づけを、「5類感染症」にしましたので、久しぶりに今年度は授業参加することが出来ました。
さて、公共性の高い庭園は、多くの利用者が使用しやすいかどうかで評価される場合が多いと思いますが、このページでは、多くの人が利用しやすい庭園をつくる過程とともに、興陽高校の造園デザイン科の生徒さん達の技術力と感性の素晴らしさをお伝えしたいと思っています。
今年度は、「UD 3つの小さな庭模様」ということで、一つの区画にそれぞれ独特の雰囲気を醸し出す3つの小さな庭を作りました。
造園デザイン科の生徒さん達には、「令和5年度の卒業制作の庭園づくり」という位置付けのようです。
3つの班に分かれて作庭するといった、今までになかったスタイルで進められました。下の昨年6月頃の写真で分かりますように、一学期は2本の柱と外周の石積みのみで、内側の庭のかたちが見えていませんでしたので、これからどうなって行くのかとても心配でもあり楽しみでもありました。
二学期になって東西の園路のかたちは見えて来ましたが、校内の他の実習授業だけでなく校外の実習授業もありましたから、まだまだ詳細な部分は思うように進んでいないと感じました。
しかしながら、昨年12月中旬には3つの庭園の大まかなかたちが見えてまいりましたし、今年1月の中旬には完成しているわけですから、ほんとに集中的に作庭を始めると大変早いと驚かされます。
「UD 3つの小さな庭模様」の区画の外枠の石積みや園路の石積み等は、野面積み(のづらづみ)という技法で仕上げられております。野面積みは、自然石や割石などをほとんど加工しないでそのまま積み上げていく方法のことです。外枠の石積みも園路の石積みも、とても美しく仕上がっていると感じております。
石積みの施工方法には、「練積み(ねりづみ)」というのもありますが、こちらは石と石の間にモルタルを入れて石を積み上げていく工法のことであります。
上の写真は、「UD 3つの小さな庭模様」ですが、以下一つづつ感想を述べて行きたいと思っています。
2020年11月に、3.5m×5mのスペースに、課題の庭を造る「第58回技能五輪全国大会」の造園種目で、当時の興陽高校3年生と卒業生とのペアで敢闘賞を受賞しました。そういった小さな庭を作庭する大会の流れや、在校中に実習授業で学んだ施工技術や感性等とともに、今年度はバリアフリーやUD(ユニバーサルデザイン)の考えを取り入れて、この3つの小さな庭園を作庭して来たのではないかと思っております。
左上写真Aは、西側に位置する「水辺にある茶室で和風庭園を楽しむ」であります。
タイトルを見て、「水辺」はどこにあるの? とほとんどの人が疑問を抱くかもしれません。ここでは、東西の園路を「川」として見立てているようです。雪見灯篭は川に明かりを灯すために設置されたようです。
私は車いすに乗っていますので、立っている人とは目線の高さが低くなります。見え方が違うかもしれません。私の目線からですと、やや園路が川のようにうねって見えます。長さ4.6mの園路を、「川」に見立てられるように石積みと延段で大変美しく表現しているなと感心しております。
また、茶室に入る前に手を清めるための「手水鉢(ちょうずばち)」があったり、体育倉庫の目隠しとしての役割を持つ建仁寺垣と押縁KOYOのローマ字をあわせ持つ「雷紋垣」、造園作家として大変有名な「重森三玲」氏を想像させる和モダンな雰囲気の「市松模様」、芸術は爆発だ!と言わんばかりの迫力がある現代芸術風のオリーブの木が屋根を突き抜けた茶室等、私には考えられないデザインセンスのお庭が出来ておりました。
これだから、これからの若者(造園デザイン科の生徒さん達)の創造力や表現力がより楽しみになって来ます。
中央上写真Bは、中央に門とポストがある「2つの顔を持つ庭」であります。上空から写真を撮れば、分かり易くもっと素敵な庭であると感じることが出来るかもしれません。令和6年1月23日付けのイラストを参考にしてください。
中央の門を入って、右側が和風庭園、左側に石積みされて40cm〜50cmの高さのところに植栽されているのが洋風庭園であります。一つの庭に洋風・和風の両方の顔を持つ庭園ということで「2つの顔を持つ庭」ということです。
車いす利用者には、この南北の園路の勾配にすぐに気が付くかもしれませんが、歩行できる方は、この南北園路の勾配にすぐに気がつくでしょうか。この勾配を付けることによって、南北園路の床の基礎の高さを調整したり、東西園路との境の納まりを調整したりと、目に見えないところで工夫しているところが大変好ましいところです。
それにしても、園路右側の和風庭園に使用されている3つの「さざれ石」と、色の違う小さな石で構成されている枯山水の石組が大変素晴らしい。「さざれ石」を使用して石組ができるなんて、生徒さん達にとっては一生のうちにあるかないかほどの希少な体験ではないでしょうか。「さざれ石」の石組がある庭をぜひ観賞してほしいと思っています。
右柱に隣接する「竜安寺垣」も素敵ですし、国歌の歌詞に出て来る和風庭園の「さざれ石」自体がどのようなものか見て頂きたいと思っています。
左側の石積みされた洋風庭園は、車いす利用者の目線の高さに近いところに植栽され、樹木を観賞できるだけでなく、草取りも容易に出来るようです。
高齢者や車いす利用者が、自宅に庭を作る時の参考にして頂きたいとも思っています。
右上写真Cは、東側に位置する「あそびごころ!」の庭であります。この学校内のバリアフリー庭園で、子供の遊び場をつくるというのは初めてではないでしょうか。
子供が遊べる場所を作りたいと考え、ブランコや階段(アスレチック)をつくりました。そして、休憩するためのベンチや椅子が置かれています。
当初、下の令和5年12月14日付の写真では、この庭は子供さん達だけに楽しんでもらいたいということで、庭園の入口は3段の階段のみでしたが、このスロープによって子供を連れたベビーカーを押すお母さんや、車いす利用者の親御さんとその子供が、一緒に遊び場に上がれるようになりました。ブランコや階段で遊ぶ子供さんを、傍で見守れるようになったと思います。
踏面に幅があり、け上げの低い石の階段も魅力的でしたが、勾配1/15のスロープの作成のためには階段を撤去しなければ距離を満たさないということで、階段を撤去したということです。
限られた区画の小さな庭ですから、どちらか一方にしなければならないということならば、ここのバリアフリー庭園ではスロープの作成という選択になったようです。車いす利用者としては、遊び場まで上がれるということで大変嬉しいことであります。
自然の樹木を支柱としたブランコや、石の階段を登ることで小さな子供さん達に運動してもらいたいと、「遊び場」がある庭をつくりました。作庭というのがおおもとにありますから、自然の樹木や石にこだわっているようです。
丸太のベンチや、椅子も樹木の切り株ですし、床の芝生やピンコロの石(正方形になっているサイコロ状の石)等、やはり自然の樹木や石にこだわっているようです。
この「あそびごころ!」の庭も、自然の樹木や石にこだわりながら、子供さん達の遊び場を狭いスペースにうまく納めていると感じております。
これらの3つの庭を見て、樹木や石に関する深い知識と、庭においての空間構成能力やデザインセンスだけでなく、高齢者・子供・車いす利用者等のことを考えたバリアフリー庭園(UDを含む)であると感心するばかりであります。
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どうぞ、お時間がありましたら、設置された案内板に10のバリアフリー庭園(「山野草園」「実のなる庭の実のなる木」「四季を彩る庭」「流れのある庭」「バリアフリー展望台「友集の丘」「和楽の庭」「見本庭園のバリアフリー化」「干拓地の生き物を知る」「万葉の小径」「まくあいのこかげ」)、そして「50周年記念庭園のバリアフリー化P1」及び「50周年記念庭園のバリアフリー化P2」と「香楽園(こうらくえん)」を令和元年度「記念碑」周りの整備で園路を繋げ一体化させました。
また、「クジラの庭」の奥(東側)にあります「LINK〜時を刻む〜」、体育館前にあります「鳥達の集う滝」、今年度(令和5年度)「UD 3つの小さな庭模様」 などで、ゆっくりと歩みを進めて気持ちをリフレッシュさせていただきたいと思っております。
それから、平成28年度の「記念庭園のバリアフリー化P1」のスロープから、平成29年度の「記念庭園のバリアフリー化P2」のあずまやで休憩して、平成30年度の「記念庭園のバリアフリー化P3」の二つのスロープからの眺望も楽しみながら、令和元年度の「記念庭園のバリアフリー化P4」で、記念館の縁側が庭園の方から見える位置まで、園路を進めてみてください。
記念館の縁側から見える雪見灯籠がある辺りまで車いすでも行けるようになりました。
入口から園路を進めて行くほどに、高齢者や車いす利用者や子供さん等が、記念庭園の景観を様々な角度から楽しむことができるようになったと思います。
日本庭園とバリアフリー化とが融合した景観の雰囲気を味わってもらいたいと思っています。
今年度の「UD 3つの小さな庭模様」の庭園は、体育館前で「鳥達の集う滝」の斜め向かいにあります。
このページで、生徒さん達の技術力と熱い思いと感性を作庭の過程で知っていただけたら幸いであります。
毎年度ながら、庭園の設計・施工の実習授業で、これほど素晴らしい庭園をつくりあげてしまう生徒さん達を指導する興陽高校の先生方の奥深い考え(生徒さん達の自由な発想の重視と新しい日本庭園のあり方など)や、指導力や技術力の高さにあらためて感服致しております。
現在のバリアフリーやユニバーサルデザインを重視しつつある社会で、いかに日本庭園のなかでそれらを融合させられるか、あらたな取り組みを授業のなかに取り入れていると感じております。
※施工の過程については、ページの一番下からみてください。
◇岡山県立興陽高等学校
住 所 : 岡山県岡山市南区藤田1500
電 話 : 086-296-2268(代表)
URL : http://www.koyohigh.okayama-c.ed.jp/
「造園デザイン科 第3学年 庭園施工管理類型 13名(女子生徒 2名)」
(造園デザイン科 科長 尾畑篤司先生、板野阿貴子先生、長谷川久展先生、田中賢造先生、佐藤一成先生、柴田圭祐先生)
内閣府特命担当大臣表彰優良賞受賞(平成19年度バリアフリー化推進功労者表彰)
D、東西園路 | E、雪見灯篭と手水鉢 | F、雷紋垣と茶室 | G、和風庭園 |
この日は、完成された「3つの庭」を撮影するとともに、板野先生と佐藤先生に庭園内での設計の考え方や施工について、個別にお話を聞くことが出来ました。
それぞれの計測につきましては、板野先生と佐藤先生が協力してくれました。
ここの写真では、緩やかな勾配の園路や、隣の班との境界をフラットにするための工夫や、生徒さん達のこだわり等の説明をして行きたいと思っております。
左上写真Dは、「水辺にある茶室で和風庭園を楽しむ」の東西園路であります。入口の幅が広くなっているので、園路へのアクセスが車いす利用者だけでなく杖を突いて歩行する高齢者等にとっても容易いようです。床は延段(石張りの園路)で、園路の半ばがやや盛り上がっております。
中央上写真Eは、後ろの体育倉庫の壁を建仁寺垣で隠し、その上に押縁でローマ字のKOYOの文字が見えます。こういった竹垣を雷紋垣(建仁寺垣+押縁でKOYO)と言いますが、校外実習で学んだことが活かされているようです。
正面から見ると、左から雪見灯篭・手を清めるための「手水鉢(ちょうずばち)」・茶室の位置が分かると思います。ピンコロの石と緑の玉竜の市松模様を上から見ると、造園作家の重森三玲氏の和モダンを感じさせてくれます。
中央上写真Fは、雷紋垣と茶室ですが、昨年12月14日には茶室の柱や梁はありませんでした。造園実習室で茶室を作っているところです、と長谷川先生が教えてくれました。
今年1月17日には、茶室が設置されていましたが、茶室のなかに木が植栽されていたのには驚きましたし、屋根をオリーブの木が突き抜けておりました。どこから、このような発想が生まれて来るのだろうか。
右上写真Gは、「2つの顔を持つ庭」の園路右側にあります和風庭園であります。「さざれ石」の石組がありますが、3つの「さざれ石」に囲まれるように黒い石が置いてあります。溶岩石(軽石)で、単なる班長独自のこだわりとか、他の生徒さんが説明してくれました。
「そんなことがあるの?」と聞き返したいが班長はお休みなので、これ以上のことは分かりません。「自由だな〜」
左下写真Hは、「2つの顔を持つ庭」の園路左側にある洋風庭園であります。洋風庭園の石積みで、園路に飛び出た石の角を削って通り易くしたようです。洋風庭園の石積みの高さは、北側奥の方から手前に、奥40cm〜手前50cmになっていました。
中央下写真Iは、「あそびごころ!」のブランコとスロープであります。樹木は斜め上にのびていますので、ロープの長さも長い方が170cm、短い方が160cmになっていました。
ブランコの座のサイズですが、幅50cm・奥行20cm・ 厚さ8cmでありました。
スロープの板張りの立ち上げですが、幅20cmの板を3枚・2枚・1枚で構成されており、スロープ入口に近い方が1枚となっております。
中央下写真Jは、「あそびごころ!」のコーナーの階段であります。高さは90cmで、け上げは11cm〜20cm、踏面は20cm〜40cmでした。子供さん自身の身体能力によって、け上げの長さや踏面の幅を自分自身で選択しながら、事故のないように登って行ってもらいたいと思っております。
右下写真Kは、「あそびごころ!」の床とベンチです。床は芝生のところと写真のようにピンコロの石(花崗岩)を埋めて並べていました。
丸太のベンチのサイズは、幅105cm、奥行35cm、高さ28cmでした。奥の切り株の椅子のサイズは、幅30cm、 奥行30cm、高さ30cmです。
H、洋風庭園 | I、ブランコとスロープ | J、コーナーの階段 | K、ベンチと椅子 |
板野先生 撮影 | 板野先生 撮影 | 板野先生 撮影 |
L、 「水辺にある茶室で和風庭園を楽しむ」のイラスト |
本日は、完成した各庭園の感想を述べるとともに、佐藤先生から各平面のイラストや質問表の回答などを受け取りました。感想を述べた後で、生徒さん達の回答を見ました。
今年度は、1つの区画のなかに3つの庭園がありますが、質問表のなかで生徒さん達全員で回答してほしい項目と、班ごとに回答してほしい項目があったのですが、内容の意図がうまく伝わっていない項目もあったようです。
例えば、設計の項目の@ですが、区画全体の庭園の名前ですが、それぞれの庭園の名前だけの回答になっていました。
後日、区画全体の庭園の名前を、生徒さん達が話し合い教えてもらうことにしました。
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先ず、 「水辺にある茶室で和風庭園を楽しむ」について、園路の有効幅員や形は、当初から曲がりの園路でした。変更していません。と施工のところで回答があります。
東西園路の長さは、460センチ。西側入口の有効幅員は、110センチ。園路の広いヶ所で115センチ、狭いヶ所で100センチです。このイラストを見ると、西側(左側)の入口を車いす利用者が入り易いように広くなっているのが分かります。
昨年9月の作庭中の園路では、園路が直線に見えます。このイラストでも斜めに直線的に見えるのですが、実際は広いヶ所の有効幅員を115センチにして微妙に自然の川のように蛇行しているのが分かります。
車いす利用者のように低い目線の高さですと、より園路が蛇行している曲がっているように見えます。
460センチの園路の長さのなかで、園路を水辺(川)に見立てて、超現代風の和風庭園となっていると感じています。
室町時代中期の寝殿造りの茶室は、建物内を屏風などで仕切っただけで、板張りや土間のない構造の建物もあったようですが、なぜ茶室のなかに木が植栽されているのかが分かりません。
独特な世界観を持った不思議な庭園だと感じております。
◇総合設計責任者(名前 : 石井 颯 ) | ◇総合施工責任者(名前 : 石井 颯 ) |
今年度の生徒さん達はどのような思いで、バリアフー庭園の作庭 を計画されたのでしょうか。 設計に関する考えを記入してください。 @3つの班に分かれて作庭して来ましたが、この区画全体として の庭園の名前と理由について教えてください。 回答 : 無し 〇3つの班に共通するものはありますか。 回答 : 車イスでも、入ることができる。 A誰のために、庭園をユニバーサルデザインにしようとしましたか。 (新規区画の庭園は、UDを意識して作庭するものと考えています。) 回答 : 無し 〇車いすに乗って園路を走らせた感想はいかがでしたか。 回答 : 快適 B班ごとにどのような庭園を計画しましたか。それぞれ詳細に 記述してください。 班ごとの庭園に名前や由来がありましたら教えてください。 1班) 設計責任者(名前 : 石井 颯 ) 〇庭園の名前とテーマ(主題)について記述してください。 回答 : バリアフリーの考え方を取り入れた和風小庭園 名前 : 〜水辺にある茶室で和風庭園を楽しむ〜 〇概念(大まかな意味内容)を園路・灯篭・茶室・背景の竹垣等 で説明してください。 回答 : 1)当初から曲がりの園路でした。変更していません。 有効幅員も当初から変わらず車椅子1台分です。 2)灯篭 : 笠の幅 48cm 奥行 41cm 高さ 58cm 茶室 : 幅 2m40cm 奥行 70cm 高さ 前2m45cm 後2m90cm 3)庭の背景が倉庫だったため、目隠しとして、建仁寺垣を作成 しました。 回答 : 模様については、重森三玲(しげもり みれい)さんの雷紋垣を イメージし、オリジナルでKOYOの文字を施しました。 C今年度の生徒さんらしさを出したヶ所がありましたら記入してく ださい。 庭園やその他で何か思い入れがあればを書いてください。 回答 : 各班で石積みを取り入れた庭園作りをした。 野面積みをしたのは、2年生の時の作庭で行った技法 を使った。 4年ぶりにUDを意識した庭づくりをした。 |
今年度の生徒さん達はどのような思いで、庭園の施工をされたの でしょうか。 施工に関して難しかった点や工夫した点を教えてください。 @大きな石や木の撤去の移動方法と移動場所について、詳細に教 えてください。 回答 : 基本はすべて人力作業。重たい物はクレーンを使用。 A3班に分かれて施工して来ましたので、班ごとに答えてください。 1班) 施工責任者(名前 : 高場 太一 ) 〇庭園のテーマを実現するために、施工の順序と施工で難しかった 点や工夫した点を記述してください。 回答 : ・バリアフリーの考えを取り入れ、車椅子の利用者などが支障なく 通行できる園路を施工し、建物なども目線の高さにも着目し施工し ました。 ・茶室を設置するにあたり、茶室を大きく見せたかったため、敷地の 外に後ろの柱を出すことによって大きさを保つ工夫をしました。 ・起伏をつけて島をイメージしてピンコロ石を設置していきました。 ・一度取った角石を置くときに元からある石と合わず、コヤスケで削 ったり、新しく別の石を探すことが難しかったです。 〇作庭途中に園路の有効幅員や形(直線⇒曲がり)を変えたのは なぜですか。 回答 : 1)当初から曲がりの園路でした。変更していません。 有効幅員も当初から変わらず車椅子1台分です。 〇灯篭と茶室の両方のサイズ(幅×奥行×高さ)を教えてください。 回答 : 2)灯篭 : 笠の幅 48cm 奥行 41cm 高さ 58cm 茶室 幅2m40cm 奥行 70cm 高さ 前2m45cm 後2m90cm 〇背景の竹垣やその他について説明してください。 回答 : 3)庭の背景が倉庫だったため、目隠しとして、建仁寺垣を作成 しました。 模様については、重森三玲(しげもり みれい)さんの雷紋垣を イメージし、オリジナルでKOYOの文字を施しました。 B特別に、印象に残っている施工・その他について記述してくださ い。 書き足りない場合は裏面に記入してください。 回答 : 茶室を組む時、3つの班の人達で力を合わせ、運び設置 したことです。 |
M、「2つの顔を持つ庭」のイラスト |
2班は、中央の「2つの顔を持つ庭」であります。中央の庭園は、一般住宅の庭園ですから、門の隣にポストがあるようです。
イラストの右側が和風庭園、左側が洋風庭園になっています。左側の洋風庭園は石積みによって高く立ち上がっており、40cm〜50cmのところに植栽されております。限られた狭いスペースの庭園の中に、高低差を作って植栽されているのが面白いと感じております。
上のイラストの「オタフクナンテン」は、和風庭園と洋風庭園の両方に植栽されております。「オタフクナンテン」は、日本の暖地及び中国が原産と説明書きがあり、洋風・和風に区分して洋風庭園に植栽するのは、微妙な違和感があったのですが、ここでは緑色の葉ばかりでなく赤色の葉を置くことで色合いとして植栽していると、佐藤先生から説明がありました。
最近では、家の新築時に庭をつくる時に、洋風の庭園でもよく見かけられ違和感がないので、洋風庭園に「オタフクナンテン」を植栽しましたとのことです。
和風庭園にある「さざれ石」は、日本の国歌であります「君が代」の歌詞にも出て来る大変有名な石ですが、実際に本物の「さざれ石」を見たことがあるでしょうか。
この「さざれ石」は、旧岡山市立丸の内中学校にあったものですが、この庭園では、石組として3つの「さざれ石」が使われています。
この学校のバリアフリー庭園では、「石組」という言葉をよく聞きます。造園技術のなかでも、自然石を組合せて配置したもので高等技術だと感じています。
生徒さん達は、この「さざれ石」の石組と砂利敷きで、枯山水(かれさんすい)の池と水の流れを表現したのでしょうか。
それにしても、毎年度、作庭で感じることですが、自然石の種類が豊富であることに驚いてしまいます。
2班 設計責任者(名前 : 守屋 智望 ) | 2班 施工責任者(名前 : 伊藤 孝志 ) |
B班ごとにどのような庭園を計画しましたか。それぞれ詳細に記述 してください。 班ごとの庭園に名前や由来がありましたら教えてください。 〇庭園の名前とテーマについて記述してください。 回答 : 卒業制作庭園 名前 : 〜2つの顔を持つ庭〜 〇概念を門・ポスト・園路沿い左右の植栽(名前)や石(種類)その他 で説明してください。 回答 : 1)木製のポストを設けた門から左側にギンコウバイやコクチナシ、 アジェガを植栽した。 2)和風の庭園 : 右側にさざれ石の石組みをした。 3)庭園の園路は、赤茶色のレンガで通路を設け。玄関までの3アプ ローチを施工した。 C今年度の生徒さんらしさを出したヶ所がありましたら記入してく ださい。 庭園やその他で何か思い入れがあればを書いてください。 回答 : 各班で石積みを取り入れた庭園作りをした。 野面積みをしたのは、2年生の時の作庭で行った技法 を使った。 4年ぶりにUDを意識した庭づくりをした。 |
A3班に分かれて施工して来ましたので、班ごとに答えてください。 〇庭園のテーマを実現するために、施工の順序と施工で難しかった 点や工夫した点を記述してください。 回答 : ・洋風庭園・和風庭園・アプローチ作成・アプロ−チの角度をそろえ ること。 〇門を木製にしポストを置いた理由について教えてください。 回答 : ・昔の体育館の材料を利用した。 ・ポストは玄関のため。 〇防腐剤の種類? 回答 : クレオソート油 〇園路の色を1班と変えた理由を教えてください。 回答 : 2班の方が早く赤いレンガを使っていた。 〇園路沿い左右の植栽がなぜ和風と洋風になっているのか。 回答 : コンセプトが「2つの顔を持つ庭」だったため。 〇大きな石やその他について、設置の方法や工夫した点を 説明してください。 回答 : 石積みの角を取ることを工夫しました。 B特別に、印象に残っている施工・その他について記述してください。 書き足りない場合は裏面に記入してください。 回答 : 和風庭園の砂利敷きでは、枯山水の考えを取り入れていき ました。 |
N、 「あそびごころ!」 |
昨年12月に訪問した時には、遊び場の高さは約30センチで、3段の階段がありました。(隣接する「2つの顔を持つ庭」に通ずる園路はありません。)
遊び場に上がるところが、階段だけでしたら、今年度作庭の区画を一つの庭園と考えてみましたら、バリアフリー庭園とは言えないですね。と尾畑先生にお話しました。
現状の感想を述べたのが、12月の中旬でありましたから、間に冬休みもあり、授業の実習時間はあまりなかったでしょうから、この庭園がどのようになるのか心配でした。
尾畑先生が、生徒さん達に私の言ったことを話してくれて、スロープの作成となったわけですが、せっかく作った階段の撤去までは想像していませんでした。
階段を残すとスロープの勾配が1/15にならないので撤去しました。と田中先生があっさりと答えてくれました。
狭い庭のどこに勾配1/15のスロープを作れるか熟知しているから、階段を思いっきりよく撤去できるのだと感心しています。
このスロープの出来栄えも大変素晴らしいと感じています。
この学校内のバリアフリー庭園で、「アスレチック」を表現した庭園は初めてであります。
この遊び場で、子供さん達が怪我や事故のないように、利用者は小学校低学年までとか、保護者の見守りをしてもらいたいと思っております。
3班 設計責任者(名前 : 太田 結衣 ) | 3班 施工責任者(名前 : 石原 昂大 ) |
B班ごとにどのような庭園を計画しましたか。それぞれ詳細に記述 してください。 班ごとの庭園に名前や由来がありましたら教えてください。 〇庭園の名前とテーマについて記述してください。 回答 : 名前 : 「あそびごころ!」 〇概念を石積み・ブランコと支柱・ブロックその他で説明してください。 回答 : 子供が楽しく遊べる庭。 子供の介護は必要としないが、保護者の方が車イス等の場合は、 要介護が必要だと考える。 〇追加のスロープについての思いを記述してください。 1班と2班の施工を見て、森本さんの話を聞いて作ろうと思いました。 C今年度の生徒さんらしさを出したヶ所がありましたら記入してく ださい。 庭園やその他で何か思い入れがあればを書いてください。 回答 : 木のブランコを作りたい!という思いの実現。 各班で石積みを取り入れた庭園作りをした。 野面積みをしたのは、2年生の時の作庭で行った技法 を使った。 4年ぶりにUDを意識した庭づくりをした。 |
A3班に分かれて施工して来ましたので、班ごとに答えてください。 〇庭園のテーマを実現するために、施工の順序と施工で難しかった 点や工夫した点を記述してください。 回答 : ・石のアスレチックで高さを変えながら階段状に積んでいくのが難し かった。 〇ブランコ(座のサイズ)とロープの長さ、支柱(樹木の種類と角度) の植栽と強度? 〇遊び場の制限として立て看板を設置しますか? 回答 : します。 〇看板の文言? 回答 : 小学校低学年までとします。 〇追加のスロープの有効幅員・長さ・勾配と工夫した点 について記述してください。 回答 : 有効幅員 95p 長さ 4.5m 勾配 1:15 単色ではなく二色で作業しました。 B特別に、印象に残っている施工・その他について記述 してください。 書き足りない場合は裏面に記入してください。 回答 : 石のアスレチックを角度を変え階段上に積んでいくのが難 しく印象に残っています。 |
O、灯篭と手水鉢と竹垣と茶室 | P、中央の和洋折中庭園 | Q、遊び場 | R、遊び場へのスロープ |
尾畑先生撮影 | 尾畑先生撮影 | 尾畑先生撮影 | 尾畑先生撮影 |
本日は、生徒さん達が、どのように作庭して来たのか、その内容を教えてもらいたいと、設計と施工についての質問表を作り、尾畑先生に用紙を渡しに来ました。
上のO〜Rの写真は、尾畑先生に撮影してもらいました。
左上写真Oは、1班の庭園ですが、延段の園路・雪見灯篭・手水鉢・雷紋垣そして茶室など、すでに完成されているように感じました。
中央上写真Pは、2班の庭園ですが、中央の門を入って右側が和風庭園で、左側が洋風の庭園になっているようです。この庭園もほぼ完成しているように感じました。
中央上写真Qは、3班の庭園ですが、3段の階段を撤去してスロープになっていました。
1月中旬に、尾畑先生と電話でお話した時に、現在車いすでも上がれるようにスロープを作っているところです。と聞きましたのでやって来たのですが、階段を撤去しているとは想像していませんでした。
まだ、ブランコの座るところはありませんでしたが、もう少しで完成するようです。
右上写真Rは、遊び場へのスロープです。勾配が緩やかで、二色のブロックを使用しているようです。短期間で、ここまで素晴らしいスロープを作りあげるとは驚きであります。
S、西側から撮影 | T、東側から撮影 |
本日は、施工地の作業がどこまで進んでいるのか、気になって見に来ました。
(尾畑先生、板野先生、長谷川先生、田中先生、佐藤先生が応対してくれました。)
庭園全体の名前は、まだ思案中とのことでしたが、3班の各庭園の「かたち」が見えつつあるようです。
左上写真Sは、西側からの施工地の写真ですが、体育倉庫の壁を覆うような竹垣が作成されていました。
右上写真Tは、東側からの施工地の写真ですが、2班の竹垣と3班の囲いの板が見えています。
それぞれの3つの各庭園は仕上げにかかっているようですが、3班の遊び場に上がるには階段の他にアクセスの方法がないように見えました。
もしも、車いす利用者の父親が子供と一緒にここを訪れた場合、遊び場で子供が転倒しても、父親は階段だけですと車いすで上がって行けないので、子供の介助ができないですね。と尾畑先生に話しました。
ここの施工地を1つの区画としてみると、今のままではバリアフリー庭園とは呼べませんね。とも尾畑先生に話しました。
庭園全体の高さの設定は、オオシマザクラの根っこを基準として高さを決定したようです。
両側の石積みの高さによっては、車いす利用者が園路を走行する時に、威圧感があり実際より園路幅を狭く感じます。学校の車いすを実際に乗って体感してもらいたいと思っています。
U、西側からの東西園路 | V、間口が幅広で延段の園路 | W、中央の南北園路 | X、和風の庭園 |
1班の庭園について、長谷川先生から説明を受けました。
園路は緩やかな曲がりのある川をイメージし、川の手前に小さな雪見灯篭を置き、水辺の灯台に見立てようとしているようです。(雪見灯篭は、まだ完成していません)
川の向こう側(北側)には、現在は土台になる石が埋め込まれていますが、その上にミニ茶室を置く予定にしているようです。現在、ミニ茶室を、造園実習室で作成中とのことです。
〇施工の状況とサイズ
東西園路の長さは、460センチ。西側入口の有効幅員は、110センチ。園路の広いヶ所で115センチ、狭いヶ所で100センチです。
左上写真Uは、西側からの東西園路です。茶室への道すがらの園路ですが、緩く曲がりくねっているような「うねり」を感じさせます。
中央上写真Vで分かりますように、入口の園路の間口が広くなっています。
茶室へは、飛び石が設けられることが多いのですが、車いす利用者のために走り易い延段(敷石の園路)になっておりました。
2班の庭園は、南側から中央にある左右の柱の間から入り、南北の園路となります。床は、茶色のブロックになっています。
北側の「オオシマザクラ」を玄関に見立てて、門から玄関までのアプローチを表現しています、と板野先生より説明を受けました。
園路の左側には洋風の花木、右側には和風の花木、と和洋折衷の庭園となっているようです。右側にある赤い実は、「ハクサンボク」です。
〇施工の状況とサイズ
園路の長さは、南北430センチ。南門有効幅員155.5センチ。北門側は、130センチ。園路の広いヶ所で165センチ、狭いヶ所は110センチです。
中央上写真Wは、中央の南北園路の入口の様子であります。門の左隣にポストが見えています。
右上写真Xは、中央の門から入って、右側は和風の花木を植栽したり石組で、和風庭園を表現しています。
小さな子供さんが、ブランコに乗って遊べる庭を作っています。 ブランコの設置はこれからであります。
〇施工の状況とサイズ
遊び場の床の高さは、約30センチです。
左下写真Yは、遊び場の南側階段です。.階段のサイズについては、有効幅員115センチで、階段のけ上げについて、1段目5センチ、2段目13センチ、3段目12センチになっています。踏面は33センチです。
中央下写真Zは、遊び場を東側から撮影したものですが、ブランコの支柱になる樹木が庭の中央までのびています。
中央下写真AAは、2班の中央庭園の北側の入口は、玄関入口に見立てているようですので、こちらからの出入りは考えていないようです。
右下写真BBは、遊び場のコーナーにある階段の上に生徒さんが上がっていますが、階段の上がり方を実際にやって見せてくれました。
Y、遊び場の階段 | Z、遊び場を東側から撮影 | AA、中央庭園の北側入口 | BB、遊び場のコーナーの階段 |
CC、西側からの園路の入口 | DD、園路の幅と尾畑先生 | EE、中央の門柱 |
本日は、施工地の作業がどこまで進んでいるのかを見に来ました。(尾畑先生、田中先生、佐藤先生が応対してくれました。)
先ず、施工地の庭園全体の面積ですが、間口(横)13.5m×奥行3.5mでした。
今年度は、3班に分かれて作庭していますが、個々の庭園のスペースは4.5m×3.5mということです。(尾畑先生と佐藤先生に測って頂きました)
今年度の庭園の名前は、まだ決まっていないようです。3班に分かれて、個々のテーマに沿って施工しているようです。
今のところ庭園全体の枠の石積みと、二つの大まかな園路の「かたち」を確認できましたが、まだ庭園の詳細な「かたち」は見えて来ていません。
左上写真CCは、西側からの園路ですが、有効幅員が90cmで作成予定だと聞いています。
写真で分かりますように、現在はやや勾配があったり石の欠片があったりで、容易く園路内に自力で入って行けない状態でした。
西側の出入り口と東側の出入り口について、やや斜めからでもアクセスできるように、間口を広げるために石積みを調整するようにアドバイスしました。
角の大きな石をどのようにするのか、次回が楽しみです。
中央上写真DDは、上記と同じ東西園路です。西側から入って門の辺りの園路の様子ですが、間口を広げるのと柱と石積みの間が少し空いているのを、生徒さん達がどのような納まりにしたら良いのか、尾畑先生が考えているところだと思います。
後ろの建物は、体育館であります。
右上写真EEは、庭園中央にある2本の門柱で、1つの柱は高さ2.4m、幅30cm、厚み12cmで材質はラワンということです。この庭園の正門ということになると思います。
さて、今年度は、左側に東西園路+α、中央に幅広の南北園路+α、右側に子供の遊び場を作庭したいと、これからの展望を尾畑先生から聞きました。
左下写真FFは、中央の門柱から入って南北の園路を作庭中とのことですが、石積の準備段階でしょうか、現在のところは石が放置されていて北側の出入口の「かたち」が見えていませんでした。
中央下写真GGは、中央の門の右柱の右側に、子供の遊び場を作庭したいと聞きました。写真のように、正面からは階段になっていました。現在は、車いす利用者は入って行けない状況でした。
右下写真HHは、東側にある体育館の方から、今年度の庭園全体を撮影したものです。庭園全体の枠組みを石積みし、中央に2本の柱があるのを確認できると思います。
それから、石積みについて、石の種類は御影石で、矢掛石(旧丸の内中学校にあった石を頂いた)や小豆島の石(卒業生が和風庭園を解体した時に持って来た。)ということです。
今年度の庭園に隣接する樹木については、名前はオオシマザクラ(潮水に強い)で、桜餅の葉として使用されるようです。
FF、中央の園路になる予定 | GG、遊び場の階段 | HH、東側からの庭園全体の様子 |
◎8/2(水)ツインメッセ静岡 第18回若年者ものづくり競技大会があり、「造園」の部で2班の守屋さんが銅賞を獲得したということです\(^o^)/\(^o^)/\(^o^)/
競技の制限時間は3時間30分ですが、最初は約9時間かかっていたと田中先生から聞きました。時間を短縮できるまで何度も何度も繰り返して、制限時間内に作庭し結果を残したようです。
こういった競技会に積極的に参加し、造園をやりたいという気持ちが伝わり大変嬉しく思っております。
II、体育倉庫と今年度の施工地 | JJ、正面入口の柱 | KK、体育館側からの施工地 |
平成15年(2003年)から令和元年度(2019年)「記念庭園のバリアフリー化パート4」と記念碑周りの整備まで、17年間ここのバリアフリー庭園の授業に参加させてもらっていたのですが、新型コロナウイルスの影響で対面の授業をひかえておりました。
厚生労働省が、令和5年5月8日に新型コロナウイルス感染症の位置づけを、「5類感染症」にしました。
「5類感染症」の一覧を覗いてみますと、ウイルス性肝炎・侵襲性インフルエンザ菌・梅毒・破傷風・風しん等聞いたことがある病名だけでなく他にもいろいろありました。
「5類感染症」になったからと油断は禁物であります。
マスクの着用・手洗い等の消毒・換気等や、人と人との距離に注意しなければなりませんが、教室では換気と距離、屋外のバリアフリー庭園では距離をとり、マスク無の授業を実施しました。
さて、4年振りの授業参加となりますが、大変楽しみにしてやって来ました。
左上写真IIは、体育倉庫と今年度の施工地であります。左柱より左側、二つの柱で門になっている中央の部分、右柱より右側の部分と、3つの班に分かれて作庭を進めているようです。
1班の東西園路は、西側から入り左柱辺りまでで、有効幅員90cm勾配1/15以下で作庭する予定と聞きました。
中央2班の南北園路は、南側にある二つの柱の間から入り、そのまま北側までの園路を作庭する予定と聞きました。
中央上写真JJは、中央の両柱ですが、ここが庭園の正面の出入口となるように聞きました。
右上写真KKは、体育館側から撮影した今年度の施工地の全体であります。右柱より右側に、3班の子供の遊び場を作庭したいと聞きました。
今日の段階では、庭園全体の出来上がりをイメージできませんでした。
園路をつくる時に、両側に石積みをして通路幅を90cmにしたいということですが、両側の石積みの高さによっては、車いす利用者が園路を走行する時に、威圧感があり実際より園路幅を狭く感じるのではないかと不安になったりします。
〇6月8日の第一回目の授業で、バリアフリーとユニバーサルデザインの説明ということで、岡山県作成のパンフレットが、とても参考になりますので県庁で頂きました。
・5階:保健福祉部障害福祉課にて、バリアフリー社会をめざして(まちづくり条例のマニュアル)を18部頂きました。
・9階:岡山県 県民生活部 人権・男女共同参画課にて、おかやまUDのパンフ(コピー)を18部頂きました。
◎対応してくださった職員の方々、ありがとうございました。
LL、木々に隠れた体育倉庫 | MM、5号館前の様子 |
上写真は、平成28年(2016年)10月6日に、体育館の南にあります「造園計画実習室」から、北の校門脇の「和風庭園」をバリアフリー化(平成28年度「記念庭園のバリアフリー化パート1)するため、施工地へ移動中に撮影したものです。
この場所は、体育館の前に広いスペースがありますが、5号館前の様子であります。
左上写真LLの左側に、体育倉庫があるのですが、木々で見えておりません。
右上写真MMは、5号館前に、幾つもの大きな石と棒状の石が積まれていました。
今年度の施工地は、木々で隠れている体育倉庫の南側になるようですが、先ずは木々や大きな石や棒状の石を、この場所から移動するところから始めなければならないようです。
体育館前で、平成27年度「鳥達の集う滝」が、広場を隔てて斜め向かいにあります。
令和 6年 3月 下旬現在
まくあいのこかげの入口 | 各庭園のイラスト |
平成26年3月31日 撮影 | 平成26年3月31日 撮影 |
※案内板は、下記説明の「山野草園」「実のなる庭の実のなる木」「四季を彩る庭」「流れのある庭」「バリアフリー展望台「友集の丘」「和楽の庭」「見本庭園のバリアフリー化」「干拓地の生き物を知る」「万葉の小径」「まくあいのこかげ」の10庭園の位置情報であります。
私はたまに京都の観光地(神社や寺)や町を散策することがありますが、古い建物とバリアフリーとの融合の難しさを感じます。ここの「バリアフリー庭園」では当初から和風テイストのうえにバリアフリーやUD(ユニバーサルデザイン)をうまく融合させているように思います。京都の観光地(神社や寺)や町とは趣が違いますが、和風テイストとともにここ独自の庭づくりに挑戦していて本当に素晴らしい庭(空間)が出来上がっていると感じております。
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バリアフリー庭園は平成13年度から作庭していますが、高齢者や車いす利用者や視覚に障がいがある方そして子供さん達などが容易に庭園内を散策できるようになっています。
このサイトでは3年目の平成15年度から庭園の紹介をしております。
平成13年度の「山野草園」では「露地門」や「灯籠」や「水琴窟」、平成14年度「実のなる庭の実のなる木」では「四つ目垣」や「スロープ」、平成15年度の「四季を彩る庭」では「木製のかけ橋」や「石積み」や「花時計」、平成16年度の「流れのある庭」では「浅瀬の細長い池と石橋」や「乱杭(木製)で車いすの前輪止め」、平成17年度の「バリアフリー展望台「友集の丘」では「らせん状の石垣」と「長いスロープ」、平成18年度の「和楽の庭」では「石の顔」にこだわり「矢掛の青御影や万成石や豊島の石」などを配置したり、パーゴラと長いすの周りに集うことがでるスペースをつくったり「盆栽」置場として整備してきました。
平成19年度の「見本庭園のバリアフリー化」では、「露地門」や「建仁寺垣」や「腰高麗袖垣」そして「山目地の工法による石畳のバリアフリー化」をし、平成20年度の「干拓地の生き物を知る」では、絶滅危惧種に指定されている魚や植物の保護のために細長い池をつくり、各庭園を石橋やインターロッキングブロック舗装で結び一つの庭として高齢者や車いす利用者や子供さん達などが容易に散策できるようにしました。
平成21年度の「万葉の小径(まんようのこみち)」では、時という壁(バリア)を超えて万葉人(まんようびと)の心に触れられるような庭園をつくりました。石の桁と板をつかった橋や転落防止の竹の柵、インターロッキングブロック舗装、縁石・乱杭・低い四つ目垣・太い竹の車止めなど、これまでの庭園施工の技術面がまとめて取り入れられています。
万葉集で詠まれた花を庭や植枡に植栽し、生徒さん達や先生方の短歌も紹介しています。
平成22年度の「まくあいのこかげ」(「幕間の木陰はひらがなで明記」)は、バリアフリー庭園をつくり始めてこの周辺の区画では10年目の最後の年で、バリアフリー庭園全体の入口となる庭園をつくることになりました。車いす利用者が使用できる洗面台や子供さんのための足洗い場や長いす、滝や大きな樹木の木陰などがあり、皆さんがくつろげる広場となっております。
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平成23年度は「50周年記念庭園のバリアフリー化」ということで、40年前に「50周年記念庭園」として先輩方が寄贈してくれた庭園を、先輩方の思いを大事にしたいと考え、噴水や樹木(ワシントンヤシ・フェニックス・ヒラドツツジ・サツキなど)を残しながら、いかに自分達らしい庭園のバリアフリー化をすることでありました。
正面入口園路の他、3つの園路も園路幅を広げゆるやかな勾配のスロープになっていて、噴水周りの園路とともにインターロッキングブロックを敷き詰めています。水槽の内側にネットを張って安全性を確保する方法に大変驚きそして大変感心いたしました。大変素晴らしいアイデアだと思っています。
正面入口のアーチや屋外に常時設置の石のテーブルがあることで、癒される空間になっていますので高齢者・車いす利用者・子供さん達など皆さんがこのスペースで憩うようになると想像しております。
平成24年度は「50周年記念庭園のバリアフリー化」に隣接するスペースで、こちらも「50周年記念庭園」として先輩方が寄贈してくれた庭園でした。「50周年記念庭園のバリアフリー化パート2」として作庭しましたが、平成15年度「四季を彩る庭」にある「かけ橋」の作り直し、大きな石の上に日時計がある石碑とその周り、そして大きな日時計がある広場など、離れた三ヶ所のスペースを施工しております。
広場のインターロッキングブロック舗装にはハートマークを多用して、時には癒される空間、時にはアクティブな空間として、使用する人の気持ちしだいで様々な空間としての顔を見せてくれる楽しみな庭園であります。
平成25年度「LINK〜時を刻む〜」は、中庭にあります「80周年記念庭園(くじらの庭)」の東側の区画のスペースで、庭園内に農業機械科の生徒さん達が製作した「UDのテーブル&いす」を置いたり、家政科の実習授業のためにカラフルな植筒にハーブの植栽や、支柱が御影石の大小の流し台を設置したりと、造園デザイン科だけでなくそれぞれの科との「つながり」を考えて作庭した庭園であります。
クジラのいすやテーブルが置いてあるところから、周りが石積みされ中心に植栽された各樹木を見渡すことができ、春夏秋冬の時を刻むことのできるとてもゆったりした趣のある大変素晴らしい庭園になっています。 カラフルな植筒は、車いす利用者や背の低い子供さん達の目線の高さのことを考え、様々な高さにしています。
平成26年度「香楽園(こうらくえん)」は、「香り」がテーマで多くの方がこの庭園内で季節に応じた花の香りを楽しめるようになっています。大き目の「植え筒」にはメインの樹木とその周りに寄せ植えの花があり、車いすで容易に近づいて花の香りを楽しむことができます。
「50周年記念庭園のバリアフリー化パート1」と違和感なく融合して、教室の生徒さん達から見て、心が落ち着く癒される空間になっているのではないかと思っています。
「緑のカーテン」とか、排水のために庭園全体に勾配がついていたりとか、言われて気が付くような細かなところにも工夫があります。
コンクリート舗装の通路を板石の幅広い通路に変更しましたが、御影石の板石は、表面がツルツルで光沢がありましたが、安全のためにバーナーの火で表面を飛ばしザラザラになっていますので滑りにくくなっています。
平成27年度「鳥達の集う滝」と「クジラの庭のスロープ」は、80周年記念庭園の「クジラの庭」にスロープを二ヶ所つくるとともに、教室脇のコンクリートの廊下と庭の通路の段差解消ということでスロープをつくってくれました。
また、「鳥達の集う滝」は、大きな石の配置を「天」「地」「人」の基本形をもとにして「滝石組」を作りました。水が流れるように「滝石組」の石を配置し、実のなる樹木を植栽して、その実を食べに来た小鳥の囀り(さえずり)が聞けるような庭になっていて、コンパクトなサイズの庭に盛沢山の工夫が凝縮された大変素晴らしい庭が出来上がっておりました。
一日中観ていても飽きないと思わせるほど、大変素晴らしい風情がある滝石組だと感心しております。
平成28年度は、「見本庭園の東西の門」の作成、クジラの庭の頭側のスロープの改修、そして「記念庭園のバリアフリー化」パート1の三ヶ所です。第一回目の授業時には前記の二ヶ所は終了しており、三ヶ所目の「記念庭園のバリアフリー化」で、「あずまや」まで車いすで上がれるようにスロープを作ってくれました。そして、傾いた大きな石灯籠を修復しました。
スロープの勾配は、1/15以下、 入り口からの園路幅は車いすと人とがすれ違える幅になっており、途中の2ヶ所の踊り場スペースでも、車いすと車いすとがすれ違うことができるようです。転落防止の竹垣やキャスター(車いすの前輪)止めとして太い孟宗竹を設置していました。
同窓会記念館のお茶室を意識して、心を落ちつけ静かに庭のなかで楽しんでもらえるようなスロープにするために、ブロックの色合いは渋めにし「固まる土」などを採用しています。スロープの入り口から「あずまや」まで上がる過程について、皆さんが池周辺や大きな石灯籠や小さな滝などの風景が楽しめるよう、見え易くするために石を移動したり樹木の枝を切ったようです。
平成29年度は、引き続き「記念庭園のバリアフリー化」パート2ということで、「あずまや」の床(三和土)の改修と、「あずまや」西側の築山(つきやま)の土留めのために野面石積みをしました。野面石積みは、石一つ一つの顔の表情を生かしながら美しく積み上げております。それから、「しがらみ」の柵沿いの園路と広場のインターロッキングブロックは、機械を入れられず人の力だけの作業ですから、この園路のかたちをつくるまで、そして広場の盛り土をするために大変な労力がいったと想像しています。
この築山の上に小石でつくったサークルがあり、その中央に記念樹のヤエザクラの木が植栽されています。「しがらみ」の園路沿いにも2本目の記念樹が植栽されています。
インターロッキングブロック施工も大変美しい出来栄えだと思うのですが、個々の「あずまやの三和土(たたき)」・「しがらみ」・「野面石積み」・「挿し石」などの伝統的技術の質も高く大変美しいと感じさせてくれます。 園路は、「あずまや」西側の園路から広場まで、車いすで進んで行けるようになりました。
平成30年度は、前年度に引き続き「同窓会記念館」に隣接する「記念庭園」で、「記念庭園バリアフリー化」パート3ということですが、前年度作庭した広場から池方向と中央方向へと二方向に園路をのばし、ヤエザクラの木の周辺で合流するまでを施工してくれました。
園路のインターロッキングブロックは、前年度と同様に目立たない渋い色合いにしていました。二つのスロープは、車いす利用者のために勾配1/15以下になっています。池沿いの園路は、一部木の根の都合で幅1mになっていますが、おおよそゆったりとした通路幅になっておりました。車いすやベビーカーの前輪止めとして、丸太を重ねて園路やスロープからの転落防止にしています。
そして、池沿いから記念館の縁側から見える範囲の園路までの下地を整備しました。次年度、縁側から見える園路について、ブロックの色をどうするか生徒さん達と相談して決めたいと、尾畑先生が話しておられました。
令和元年度は、「記念庭園のバリアフリー化パート4」と記念碑周りの整備であります。
「記念庭園のバリアフリー化パート4」は、日本庭園とバリアフリー化との融合の集大成であります。池沿いの園路の整備と、池への転落防止策として垣根を設置しました。
池沿いの園路のキャスター止めは、ベビーカーの大き目の前輪に対応できるように、すべて丸太を三段重ねにしております。
池沿い園路の途中に、クロガネモチ(アクラ)の根が長く池の方までのびているため、園路幅が狭くなったり、垣根(以下垣根とは、「擬竹で作った垣根」のことです。)の設置にも大変苦労したのではないかと推測しています。
令和元年度の記念庭園のバリアフリー化で、塩ビパイプの支柱の周りを擬竹で覆い、細い擬竹を菱形状に組んだ垣根をつくりましたが、垣根の製作は、見た目以上に、隠れたところで細かく手を加えるところが多かったようです。
おかげ様で、高齢者や車いす利用者や子供さん等が、安心して池沿いの園路を散策できるようになったと思います。
「記念碑周りの整備」について、記念碑は、台とセメントで固定されているようですが、大きな地震がおきて前に倒れてしまったならば、南北の園路だけでは逃げ場がないと澁谷先生からのアドバイスを受け、香楽園側からアクセスできる園路を追加しました。
校外から招いた我々のアドバイスに対して、対応が早いというのはいつものことでありますが、当初計画されていなかったことに対しても、可能ならば計画を変更して、皆さんが安全に園路をまわれるようにしたいという興陽高校の庭園デザイン科の先生方と生徒さん達に、改めて感心しております。
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大変残念なことですが、平成22年度「まくあいのこかげ」・平成24年度「50周年記念庭園のバリアフリー化パート2」・平成25年度「LINK〜時を刻む〜」に設置されていた「休憩することができる建物」は、傷みが激しいということで現在は撤去されております。
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区画ごとにテーマは違いますが、興陽高校では各庭園を「バリアフリー庭園」と呼んでおります。では、なぜバリアフリー庭園と呼んでいるのか。それは、物理面でUDを目指した作庭というだけでなく、バリアフリーをより広くとらえて、人の心・自然保護・伝統的文化・時を超えて歴史的文学や香り等、様々なバリアに対応しながら作庭に取り組んでいますので、この学校ではUDではなくバリアフリー庭園と呼んでおります
また、造園デザイン科だけでなく農業機械科とのコラボや家政科との合同授業、そして同窓会記念庭園を測量してくれた造園工学類型の生徒さん達など、一つの学科にとどまらず他の学科や他の類型との壁を作らないということでも、ある意味でバリアフリーであると考えています。
どうぞ、「バリアフリー庭園」の個々の庭を散策して、生徒さん達の作品と「思いやり」を堪能していただきたいと思っております。
平成15年度「四季を彩る庭」 / 平成16年度「流れのある庭」 / 平成17年度の「バリアフリー展望台「友集の丘(ゆうしゅうのおか)」
平成18年度「和楽(からく)の庭」 / 平成19年度「見本庭園のバリアフリー化」 / 平成20年度「干拓地の生き物を知る」
平成21年度「万葉の小径(まんようのこみち)」 / 平成22年度「まくあいのこかげ」 / 平成23年度「50周年記念庭園のバリアフリー化」
平成24年度「50周年記念庭園のバリアフリー化パート2」 / 平成25年度「LINK〜時を刻む〜」 / 平成26年度「香楽園(こうらくえん)」
平成27年度「鳥達の集う滝」と「クジラの庭のスロープ」 / 平成28年度「記念庭園のバリアフリー化パート1」 / 平成29年度「記念庭園のバリアフリー化パート2」
平成30年度「記念庭園のバリアフリー化パート3」 / 令和元年度「記念庭園のバリアフリー化パート4」と記念碑周りの整備